Sunday, 31 March 2013

PARTNER

『分身』"PARTNER"
1968年ドストエフスキーの小説を大胆に脚色し製作されたベルナルド・ベルトルッチ初のオールカラー作品。
同監督の新作『孤独な天使たち』が上映される前に絶対観ておきたかったのです。
DVD化すらされていない貴重な映画を
いつもベストなタイミングで上映してくれる東京の映画館の素晴らしさよ・・・。


大学で演劇クラスの教鞭をとるジャコブはある日友人を銃殺。
その後何事もなかったかの様に思いを寄せるクララの誕生日パーティーへ参加するも
あまりにおかしな行動が続いたため屋敷からつまみだされてしまいます。
「お前は誰だ!」「何故付いてくる!」帰り際ひとり叫びわめくジャコブ。
すると街灯に照らされていた彼の「影」は巨大化、ついにはひとりでに動き始め
彼の前に自分そっくりの分身が現れたのでした。
その日から奇妙な2人の共同生活がはじまって・・・。


一番のお気に入りシーンはジャコブが唐突に何故かラ・マルセイエーズを歌い始めるところ!
なんとまぁどこまでもフランスはヌーベルバーグのにおいがぷんぷんする挑戦的なイタリア映画だったことか。
60年代という時代とゴダールが彼をそうさせたのでしょうか。

唐突すぎる殺人、わたしのような者には到底理解できない演劇&映画論、
本物と影の入れ違い、執拗に繰り返される同じ台詞。
くるくると変わるつながりのない展開。
「やられた!なにこれ!」
 ストーリーに関してはスクリーンの前で完全に置き去りにされてしまったわたしでしたが
カラフルで奇想天外とびきり魅力的なカットの数々はとても新鮮で、純粋に観るのが楽しかったです。


"Don't think. FEEL."

ブルース・リーのこの言葉がぴったりの映画だと思いました。ふふ。


Tuesday, 26 March 2013

Not the End of the World

大学生時代から通う本屋さんの英文学コーナーに平積みされたこの可愛らしい表紙に一目惚れして
ろくに内容も確かめず購入してきた本なのだけれど、思いがけずお気に入りとなった一冊。

英国の作家ケイト・アトキンソン著『世界が終わるわけではなく』。


『シャーリーンとトゥルーディのお買い物』という、
外で繰り広げられる銃撃戦をものともせず
とあるデパートへと母親の誕生日プレゼントを買いに来た2人の女の子の話から
不思議なアトキンソンワールドは始まります。

デヴォレ加工したベルベットのスカーフ、ラベンダーのハチミツ、バターミルクを使った石けん
菊花茶、モスキーノのワンピース、空しか写らない鏡面球体・・・

そこに登場するアイテムの乙女レベルの高さに「すてき!」を通り越した目眩を覚え
「最初っからトゥーマッチすぎる・・・
これは表紙よろしくどこまでも甘ったるい砂糖のような女の子だけに向けて書かれた本なのだろうか。」
と怯んだのでしたが、読み進めるにつれてそんな不安はどこへと飛んでゆきました。
だって、どの物語を取ってもどこかで必ず共感できる場面があったから。

ドッペルゲンガー、死後の世界、望まれなかった子供、ギリシャ神話、肥大化する猫、口うるさい母。
摩訶不思議で荒唐無稽に思える12のストーリーの奥に広がっているのは
心地よい優しさに包まれた人間の孤独だったと、わたしは思うよ。


ひとつの物語に登場した人物がその後の短編にひょいっと登場する・・・
そんなことが何度もある本作。
本の中の賑やかなキャラクターたちがゆるやかに結びついていることによって生じる物語の展開を読み解く、
その仕掛けが大変に面白い。

アトキンソンの偏愛するルイス・キャロルの世界が「ワンダーランド」ならば
彼女自身が作り出した世界は「プレジャーランド」だったっていうこと。

物語のラストではそれまで読んだ個々の短編が集まりひとつの世界となっていたことに気付かされ
誰もが「まいりました」の白旗を挙げなければいけなくなるはずです。


大きさもかたちもまちまちの真珠(短編)が集まって
最後にふと気付けば目の前にはいびつながらも美しい真珠のネックレスができあがる。
そんなイメージの本でした。

家の本棚の大切な書籍コーナーにそっと置いておくことにする。



Friday, 22 March 2013

"April hath put a spirit of youth in everything"


シェイクスピアがこの桜を見ていたなら、
ソネットの中で「君のいない春など冬とおなじことだ」なんてとても言えなかったはず。
「百合の白」より「薔薇の深い朱色」より、桜のピンク色。
この光景はどんな人の心にも春を呼ぶと思うんだ!

・・・そんな(どうでもいい)ことを思いながら歩いた飯田橋の桜並木はもう少しで満開。

凛として気持ちのよい花冷えの一日でした。