Saturday, 29 December 2012

DIANA VREELAND The Eye has to Travel

久しぶりにシネマライズで映画を観ました。
激動の・・・変化の20世紀において、50年もの間華やかなファッション業界の中心的人物であり続けた
伝説の女ダイアナ・ヴリーランドのドキュメンタリー映画。

ファッション業界のことを全然知らないわたしでも
「アナ・ウィンター以前のVOGUEの鬼編集長」として彼女の名前くらいは聞いたことがあって、
その時はただそれだけだったのだけど
今年発売された本『女子とニューヨーク』の中でヴリーランドの名前を再び目にしたとき
なんだか無性に興味を掻き立てられてしまい、彼女のことをもっと知りたいと思いました。

だから素晴らしいタイミングで公開されたこの映画を見逃す訳にはいかなかったのです。

結論。
お洋服に興味があってもなくっても
これは地球に生きる全てのワーキングウーマンの為の作品だと!


映画がはじまって早々目にとびこんできた、ダイアナの真っ赤な部屋。
大きなソファーにそれと同じ生地を張り巡らせた壁、数々の装飾品と花で飾られたそのリビングを
彼女は「地獄の庭」と呼んだという・・・。
もうこのシーンだけで「地獄の庭ってなに!すてきすぎるんですけど!」と心を鷲掴みにされましたよ。

『パリの恋人』と『ポリーマグーお前は誰だ』(←大好きな映画!)、
シャネルや「王冠をかけた恋」で有名なウォリスとエドワード、ツィギーにセジウィック、
ジャッキー・ケネディ、ミック・ジャガー。
これらのわたしの好きなもの、わたしの興味の対象が全部ダイアナと繋がっている。
インタビューの合間に流れる映画のワンシーンやセレブリティのワンショットに心が踊り
「あれもこれも全部繋がっていたんだ!」と
ミステリー小説を読み終えたときの爽快感、
あるいは難しい数学の問題を解き終えた後ひとりで感じる感動(え)
のような気分を味わいました。

今までにない流行を創造し、人々を驚かせる。
ハーパース・バザーで敏腕編集者の名前を欲しいままにし、その後VOGUEの編集長に登りつめた彼女は
「女性が働きに出るのは家が貧しいからだ」という当時の世の中の考えを変えた人でもあります。
女性が働くのは自分という存在のため。女性が働くのは最高にかっこいいこと!と。
華やかな彼女の経歴の裏には決して揺らぐことのない信念がありました。
そんな彼女の名言の数々(言葉の選び方が絶妙なの!)も、この映画の見所です。

一番印象に残っているのはこんな言葉。

"You gotta have style. It helps you get down the stairs. It helps you get up in the morning.
It's a way of life. Without it, you're nobody. I'm not talking about lots of clothes."

スタイルこそが全て。

両腕にはじゃらじゃらとブレスレットをつけ、真っ赤なネイルでタバコをふかしながら
しゃがれた大きな声でインタビュアーの質問にこたえる彼女の姿は誰にも真似できないものだった。

朝起きたときから夜寝るまで、服だけじゃなく、生活、生き方・・・
どんなときも「自分らしい」スタイルを。細かいところにこそ手をかけるべきだと。

『ダイアナ・ヴリーランド』はインスピレーションの泉のような作品でした。
「ものすごく面白かった」「感動した」という映画は多々あれど、
自分の人生感が変わっちゃうくらいに心を動かされる映画ってそんなにないと思うんです。

本当に今年この映画に出会えてよかった。合掌。


Sunday, 23 December 2012

Les Adieux a la Reine

レアちゃん、ヴェルサイユ宮殿、フランス革命。

この3つのキーワードを聞いただけで心が踊る・・・。
観たくて観たくてたまらなかった映画『マリーアントワネットに別れをつげて』。


舞台は18世紀のフランス。少しづつ革命の足音が近づくヴェルサイユで起こった、3日間の物語。
主人公はマリーアントワネットの朗読係として宮殿に仕えているシドニー・ラボルト。
王妃に心酔している彼女は言います。

「刺繍はとっても得意だけれど、刺繍係になんてなりたくない。王妃にお会いできないから。
朗読係なら、毎日お会いできる。」

いつもとかわらない毎日が続くかのように思えたある日、
宮殿内は騒々しさと緊張感に包まれました。
1789年7月14日。バスティーユ監獄が市民らに襲撃され陥落。かの有名なフランス革命が始まったのです。
フランス王妃マリーアントワネットと、彼女の寵愛を受ける悪名高きポリニャック夫人を含む
286人のギロチンリストを突きつけられたヴェルサイユ・・・。
貴族も使用人たちも私利私欲に走り出し、次々と城を去ってゆく。

それでも健気に王妃への忠誠を誓うシドニーに
マリーアントワネットは恐ろしい命令を突きつけるのです。

「ポリニャック夫人の身代わりになりなさい」と。


マリーアントワネットに朗読係の女がいたという歴史的事実から創作されたストーリー。
朗読係と王妃とポリニャック夫人、女3人の三角関係という点で
今まで幾度も映画化され、語り尽くされた感のあるマリーアントワネット話とは一線を画しているし
あれだけ存在感の強い王妃を差し置いて、主役は使用人の朗読係!というのがとても興味深かったです。
革命が始まった夜の宮殿内の緊張感とせわしなさには、観てるこちらもハラハラさせられた。

そ し て

「これから一体絶対シドニーはどうなってしまうのだろう!」

という思いが頂点に達したところで

ぷつっと、物語は、終わって、しまった・・・。

エンドロールを眺めながら
「ありゃ?本当にもう終わり?」と思わず我が目を疑ってしまいましたよう。

きっとあそこで終わることに意味があるのでしょう。そうだ、きっとそうなのだよ。
ストーリーは全て予告編で語り尽くされていて、それ以下でもそれ以上でもなかった。
ただ、それだけのこと。

鑑賞前の期待値が高かったのでちょっぴり裏切られたような切ない気持ちにはなりましたが
不機嫌顔で物憂げで、それでいてとびきりチャーミングなレアちゃんを堪能できたので満足とします。
あ、そうそう
ヴィルジニー・ルドワイヤン演じるポリニャック夫人の裸体は絵画のように美しかったのですよ。


それにしても「フランス革命」というものは
他のどんな歴史的大事件よりもとんでもない魅力を持ってわたしの心に入ってくるのです。

それはもちろん中学生の時友人に借りて勉強そっちのけで読みふけった
『ベルサイユのばら』のせいなのだけれど。

男装の麗人オスカルに憧れ、アンドレに恋をし、笑ってどきどきして、たくさん泣いた。
ベルばらはわたしのフランス革命の教科書でした。
当時リアルタイムで連載されていたどのマンガよりもわたしはベルばらに陶酔していて
アニメ版のテーマソングを携帯電話の着メロ(まだ3和音だったの)に設定する程に作品を愛していました。

フランス革命と聞けばいつだってその時の気持ちを思い出すし
そこで起こったであろう血と愛の無数のドラマに、ひとりで思いを馳せてはどきどきしたりして
14歳の頃から一度たりとも飽きることのない興味の対象、それがフランス革命だったりする。

だからわたしは王妃にさよならは言えないのです。今までもこれからもずっと。


(昨日から『レ・ミゼラブル』も公開されたし、日本の年末映画はフランス革命にジャックされ中であるね)


Saturday, 22 December 2012

MARUNOUCHI WINTER


去年の紅白歌合戦で嵐のステージに採用されたことにより一躍有名になった
「プロジェクションマッピング」という技術が
今年新しく、そしてよりレトロになった東京駅の駅舎をスクリーンに
幻想的で魔法みたいな光の画を映し出す・・・。
そんな今年の締めくくりにぴったりのステキイベント「東京ミチテラス」を一目見るために
東京駅へと繰り出してきました。

18時から点灯だと聞いていたのに、すでに17時過ぎからイベントは前倒しで始まっており
丸の内口を降り立ったわたしたちを待ち構えていたのは
数メートルごとに配置され、拡声器片手に大声を張りあげている警備の方々と
ディズニーランドもびっくりの、黒山の人だかり。

「ぎゃー!全然みえない!」

お気に入りのブーツは踏まれるわ、前からも後ろからもぶつかられるわ、
marcのコートのボタンはすれ違いざまの人に引っかかってとれるわで(実話)
ぜんぜんロマンチックじゃなかったので
早々にプロジェクションマッピング鑑賞を諦めて丸の内仲通りの方面へと避難・・・。

毎年冬の風物詩であるイルミネーションの並木道を眺め、丸ビルをぶらぶらして
わたしたちの丸の内の夜は終わってしまったのでした。

でも綺麗だったからよしとする。


Sunday, 9 December 2012

RUBY SPARKS

来週日本公開となるこちらの映画、楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
笑って泣いた『リトルミスサンシャイン』の監督が手掛ける新作『ルビー・スパークス』。


19歳で華々しくデビューし、天才ともてはやされたのも遥か昔のこと。
長い長いスランプに陥っている小説家のカルヴィン。
彼はセラピーの一環として薦められるままに、夢に出てきた理想の女の子を題材に物語を書きはじめます。
とびきりキュートで天真爛漫な彼女の名前はルビー・スパークス。
彼女のことを考えればスランプなんてどこへやら、次々と小説のアイディアが沸いてくる・・・。
彼は物語の中のルビーに恋をしてしまったかの様に夢中でタイプライターを打ち、
執筆に没頭し始めるのですが。
ある日の朝目を覚ますと、彼の目の前に本物のルビーが現れたからさぁ大変。

想像通りの容貌に設定通りのキャラクター。彼が書いたとおりに行動する彼女。

彼女は本物か、はたまたカルヴィンの妄想の産物か?

・・・・・・

ポップで独特なスタイリングとシンプルかつカラフルな画面構成から溢れ出るハッピームードを介して
人間の不器用さや寂しさや欲望なんかがぽろぽろと見え隠れしている秀作。


この映画を観て思い出したのは
多くの人が言っているように『(500)日のサマー』や『ラースと、その彼女』でした。
内気で社交性のない主人公の男の子が、彼女を自分の理想とする女の子のイメージに当てはめる。
「可愛い服に身を包んだ不思議な女の子。とにかく魅力的で自由で、たまにふりまわされちゃうんだけれど
いつだって自分のことを大好きでいてくれる女の子。」
しかしあるとき彼女の行動が自分の思い通りにならなくって
男はどっかーんと怒り狂ったり絶望につきおとされる。
そんな映画。

罪悪感と背徳感に苛まれながらも
空想の具現化であるルビーをタイプライターによって支配しようとするカルヴィン。
それは恋愛下手な男のひとりよがりで、狂気じみているのだけれど
最終的にははっと我にかえってあることを決断する。でっかい愛をもって。

だってだって、思い通りにいかないから人生は面白いのであるよ、と。


実生活でもパートナー同士であるポール・ダノとゾーイ・カザン。
ザ・文化系のカップルふたりが主役を務めている本作は
カカオ95%のチョコレートのようにビタースイートな映画でした。

かわいいだけじゃ終わらない。

ロマンティックでたまに心がちくっとするようなラブファンタジー。
12月という季節にぴったりだと思います。