Thursday, 9 August 2012

UN ETE BRULANT

少し前のことになるけれど
フランスのロマンティシズム映画であった『愛の残像』と対になるかたちで上映された
フィリップ・ガレル監督の『灼熱の肌』の感想をば。

フランス語のタイトルは「燃えるような夏」という意味。
わたしがシアターイメージフォーラムに足を運んだのはまさに燃えるくらい暑い夏のある一日で
(最近毎日本当に暑いですね)
涼しいはずの映画館へ入っても背中や腕のじっとりとした感じはしばらく消えなかったのだけど、
この映画は「暑さのせいで最高に不快な肌の状態」
というのがなんだかとてもしっくりとくる作品だったのでした。



暗闇の中をハイスピードで駆け抜ける一台の車。
運転席に座る男は泣いているようにも見えます。
彼がぐっとアクセルを踏みつけると車は狂ったように疾走して、木へと突っ込んでしまい・・・

「フレデリックが死んだ」

そんなナレーションで始まるこの映画。
その後はフレデリックの友人であったポールによる回想で物語が進みます。

売れない役者のポールと彼女のエリザベートは
ローマで画家をしているフレデリックとその妻で映画女優のアンジェルの元を尋ね、
一夏を共に過ごすことになりました。

「革命がおこるのは必然」と信じるポールと
「死しかもたらさない革命よりも愛と芸術に生きる」というフレデリック。
持論は相容れずとも、毎夜遅くまで政治を、芸術論を、恋愛を語り続ける2人。
つましい生活でもいいから、永遠に続く幸せを願うエリザベートと
幸せな結婚をしたはずなのにどこか寂しさを隠せないアンジェル。

一筋縄ではいかない、鮮やかなローマでの夏が始まる。

というお話なのですが!

すばらしくよかった『愛の残像』のせいで、『灼熱の肌』に対する期待値が相当高かった為
観賞後少し残念な気持ちになりました。

恋愛と革命と芸術と、全てが中途半端だった感が否めないなぁ・・・と。

むむむ。

妻に去られたことがきっかけで自ら死を選ぶことにしたフレデリックですが
それは「心から愛する人に裏切られた悲しみに絶えられない」という思いからというよりも
「彼女が僕の元を去っていったことで、世間は僕を愛されるに値しない人間だと思うようになる。
それが僕には許せない。これは復讐だ。」といった風な、
なんとも利己的な感情が働いての結果だと感じてしまったんですよね。

まぁ人間とはわがままでええカッコしいな生き物ですけど。

「フレデリックみたいな人ヤダ。」

これがわたしの結論であった・・・。(え)

それでも、
産後直ぐの撮影だった為か豊満でルーベンスの絵画に出てくる裸婦のようだった
モニカ・ベルッチを久々にスクリーンで拝めて感動しましたし、
ポールが「警察なんて大嫌いだ、くたばれサルコジめ!!」と叫ぶシーンでは
「ルイ・ガレルのガールフレンドはサルコジの妻の姉・・・
つまり彼はチームサルコジと言っても過言ではないのに・・・
ルイ・ガレルはこの台詞のことをどんな風に思っているのだろう」
とものすごく余計でどうでもいいことを考えてひとりニヤニヤしましたし(怪)
Dirty Pretty Thingsの"Truth Begins"が流れた多幸感溢れるダンスシーンには
自然と顔がほころびましたし、
最後の最後で想像だにしていなかったモーリス・ガレルが登場したときには
「ぎゃぁぁ映画の中でも祖父と孫役!親子3代の映画!すごすぎるよ」
と涙が出そうになりましたし、
ちょいちょいと見所の多い映画でもありました。

その日の夜はずーっとTruth Beginsを聴いてたなー。