Wednesday, 27 June 2012

La frontiere de l'aube

イメージフォーラムにて、孤高の映画監督フィリップ・ガレルの『愛の残像』を観てきました。


ある日のパリ。
若き写真家フランソワと女優キャロルはスチール撮影がきっかけで出会い、すぐさま恋に落ちます。
しかしキャロルの夫がハリウッドから帰ってきたことがきっかけで
フランソワは彼女から距離を置くようになりました。
フランソワを愛するあまり情緒不安定になってゆくキャロルはついに精神病院に入院、
自らの命を断ってしまいます。

それから1年後、フランソワは新しい恋人と幸せな毎日を送っていましたが
ある日突然亡くなったキャロルの姿が見えるようになって・・・。

フランソワ役は監督の息子ルイ・ガレル。
くるくるのモップ頭に四角い顔、大きな鼻。歩くギリシャ彫刻のような彼には
自分勝手で傷つきやすくて繊細な、神経質そうな役がよく似合います。
ついでに言うと素肌に白シャツもよく似合います。
「永遠のその先まで一緒にいるよ」
愛の台詞を囁く彼の声は最高に甘い。

一方、キャロルに扮するローラ・スメットは、歌手の父と女優の母の間に生まれ
人の前にでることを運命づけられていた人。
「女という生き物」としての存在感がスクリーンから溢れていた彼女は
きっと正当派の美人女優ではありません。
それでもじっとフランソワを見つめる彼女の顔がアップになったときには
やっぱり彼女は美しいのだ、と言わずにはいられないのです。


ルプシャンスキーによる、余計なものが一切省かれたモノクロームの映像にのせて綴られるのは
あまりにも詩的な愛の台詞の数々。
綺麗な言葉。ほんとうにうっとりしてしまう。
実生活で恋人にそういうことを言われたいとか、そういう願望は全然ないけれど。


愛に囚われ愛に生き、愛に破滅する恋人の様子だけが濃密に映し出された1時間48分。

あぁどこまでも古典的で正当派なフランス映画。
絶望の深淵をまざまざと見せつけられてもなお、そのロマンティシズムに身を沈めていたいと思う。


久しぶりに「映画を観てる」のではなくて「映画の世界に入ってしまう」ような経験をしました。

来月続けて公開されるガレル監督の『灼熱の肌』も絶対観にゆこう。



Tuesday, 26 June 2012

We Need to Talk About Kevin

わたしは悪魔を産んだのでしょうか。



ライオネル・シュライヴァーの同名小説が原作の、ちょっと話題なこの映画。
日本ではもうすぐ『少年は残酷な弓を射る』という題名で公開予定ですね。

この邦題も日本版のポスターも、どこか耽美主義風というか往年の少女マンガ風で
元々の映画の雰囲気とは大きくかけ離れているため、
ポスター観て邦題聞いて「あらなんか素敵」というイメージだけで映画を観に行くと
狐につままれたような気分になるかもしれませぬ。

うぉっほん。

周囲からの悪意ある眼差しから逃れるように独りさびれた家でひっそりと暮らしているエヴァ。
街を歩けば罵られ、家や車にいたずらをされ
アルコールや睡眠薬に頼らなければ眠れない毎日を送っています。

生きているのか死んでいるのかわからないような生活の中で彼女が思い出しているのは
とりかえしのつかない事件に手を染めてしまった息子ケヴィンのことでした。


すべてがエヴァの視点で綴られているので
何故息子はそんなにも反抗的なのか、彼がどういう風に事件を起したのか
何もかもがわからないまま。
確かなのは、ケヴィンが母親に恐ろしい程強い憎悪を抱いており
取り返しのつかないことをしてしまったということだけ。


重々しい場面では執拗にBuddy Hollyのポップな名曲"Everyday"が流れるのですが
陽気に"a-hey, hey hey"と歌われるその曲とシーンが全く噛み合っておらず
その落差がわたしたちに果てしない不条理感とやりきれなさを感じさせるのです。

ずーん。

映画冒頭、スペインで行われているトマト祭りのシーン(圧巻)で
ぐちゃぐちゃになった真っ赤なトマトを全身に浴びながら
十字架に張り付けられたキリストの様なポーズで群衆に運ばれてゆくエヴァが
とっても象徴的です。

異常な息子に恐怖と苛立ちを覚えながらも精一杯愛情を注ごうとた母親に息子が唯一残したのは
永遠に続く地獄のような苦しみ。

「どうしてあんなことをしたの?」

新星エズラ・ミラー扮するケヴィンのみせるあの冷酷な目つきといったら。


Friday, 22 June 2012

Rainbow Pancakes

おとぎの国の食べ物ですか・・・?
陰から小人が「ヤー!」って登場しそうなんですけど・・・!


と思わずにはいられないくらい、かわいいかわいい季節のフルーツパンケーキ。
原宿の大人気店レインボーパンケーキにていただきました。

メレンゲに近いあっさり味のホイップクリームとみずみずしくて甘酸っぱいフルーツ、
しゅわしゅわ溶けそうなくらい柔らかくて口当たりのよいほかほかの生地。

甘すぎず重すぎずパクパクと食べられて、食べ終わりにはずっしり満腹。
最高のバランスです。

たまりませぬ。

 わたしのパンケーキ部活動記録の中で暫定1位に輝くおいしさ。


明日にでもまた食べたいぞ。

Monday, 18 June 2012

Redoute's Roses Master List

緑豊かな木々が生い茂る上野の森美術館で、ものすごく乙女の高い催し物をみてまいりました。
フランスの宮廷画家ピエール=ジョセフ・ルデゥーテのバラ図譜展です。


フランス革命の動乱期にマリー・アントワネットそしてナポレオン妃ジョセフィーヌに仕えた
宮廷画家ピエール=ジョセフ・ルデゥーテ(1759-1840)は、バラの花の魅力に取りつかれ
169枚の版画からなる大著『バラ図譜』を完成させました。
ボタニカルアートの金字塔とされるこの作品で、ルデゥーテは植物学的正確さを踏まえて
芸術性も備えた「バラの肖像」を描き出すことに成功し、現代も多くの人を魅了しつづけています。
本展は「花のラファエロ」「バラのレンブラント」とたたえられた巨匠ルデゥーテの作品
『バラ図譜』全169作品を公開いたします。(上野の森美HPより)

植物画家ルデゥーテによって描かれた
花の中で最も高貴なイメージを持ち、美しさの象徴である薔薇の花の画だけを集めた贅沢な展覧会。
混沌とした日々の生活の中で忘れそうになっている「女性らしさ(←突っ込み禁止)」を
大いに刺激してくれる場所でした。

「バラ図譜」の扉絵。
薔薇のリースの真ん中に、古代ギリシャの詩人アナクレオンによる抒情詩が書かれています。
大学時代に古典ギリシャ語の授業を1年間受けたことのあるわたし、
今となっては読めもしなくなったギリシャ文字を見るだけで丸めがねの先生の顔を思い出す・・・
(どうでも情報)

「おおディオニュスよ、我にバラの冠を与え給え
さすれば竪琴を奏でながら、その冠をわが頭に載き
極上の乙女たちともども、喜んで貴殿の神殿の御前で
舞って進ぜましょう」
ーーーアナクレオン 抒情詩5

ここから始まるめくるめくバラ図譜の世界は、ほんとうにすばらしい。


銀盤写真術発明以前に出版された美術本として
その植物学的に正確な写実性と美しい印刷技術が高く評価されたというバラ図譜。
植物図鑑としての役割をきちんと果たしながらも
見る者を飽きさせない様に、花の位置、枝や葉の様子など、綿密な計算に基づいた工夫がされているのだそう。

古代種、チャイナ系、ケンティフォリア系、モス系とさまざまな種類の薔薇があったけど
わたしはやっぱり定番ダマスクス系ローズの絵が一番すきでした。
それからタイトルに「ポンポン咲き」付くものは、もれなく全てが可愛かったな・・・。


ミュージアムショップで販売されているローズウォーターの芳しい香りがふわふわと漂ってくる会場で
マカロンカラーのバラの絵を眺めてみれば
あぁわたしタイムスリップして、マルメゾン城にあるジョセフィーヌの薔薇園まできてしまったみたい!

(ばか)


Thursday, 7 June 2012

BIRDSONG

Sebastian Faulksの小説をもとに制作され、今年はじめにBBCで放送されていたスペシャルドラマ
”BIRDSONG"をやっとこさ観ることができました。
(日本では『よみがえる鳥の歌』というタイトルで訳本が出ているらしい)

この作品、IMDbをはじめとする各映画情報サイトでなかなかに評価がよかったこと、
そして何より
わたしの愛する(←)エディ・レッドメイン、フランスのおしゃれ女優クレマンス・ポエジー
すっかり貫禄のついたマシュー・グード(シングルマンに出ていたあのお方)がでているということで
ずーっと気になっていたのです。


うひょー、美男美女!(みみこ心の声)

舞台は1916年。第一次世界大戦まっただ中の北フランス。
荒野に佇む英国人兵士スティーヴンは、6年前に出会った1人の女性のことを思い出しています。
彼女の名前はイザベル。仕事のために訪れたフランスはアミアンにある紡績工場の工場長夫人。
一生に一度だけ、心から好きになった女性。

だけれども、それは禁断の恋でした。

スティーヴンの過去と今が交互に描かれているこのドラマ。
砂埃と泥まみれの殺伐とした戦場シーンから
緑燃ゆる6年前のアミアンの様子に場面が切り替わると
それが大変に美しくて美しくて。


「ありがち」でもなく「メロドラマ的」でもなく、すぅーっと腑に落ちるストーリー展開。

同じく第一次世界大戦下を舞台に書かれたマキューアンの『つぐない』みたいに
「うわぁそうきたか・・・」という大どんでん返しの衝撃はないけれど
「納得!」と書かれたハンコをポンッと押したい感じの作品。(わかりにくすぎる感想)


そしてなによりも!
エディー・レッドメインが素晴らしいお仕事をしているのです。

「BBCはエディーボーイのプロモーションドラマを作ったのね?」と思わずにはいられませぬ。

『マリリン7日間の恋』では主役なのにも関わらずミシェル・ウィリアムズに完全に食われていた彼。
今回はお得意のボンボン役だけでは終わらない。
話が進むごとに見えてくるのは
情熱的で、優しくて、冷淡で、うつろで、強くて、とても脆いスティーヴンの姿。
そうだよ、人間ってこれくらいに複雑なはず。


ふむ。彼はただ単にかっこいいだけの俳優さんではないのだ!と改めて思った次第であります。(え)

アン・ハサウェイ、ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウに混じっての
彼の次回作ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』がますます楽しみになりました。
唄うエディーボーイヾ(o゚Д゚o)ノ゙!

Sunday, 3 June 2012

“One’s destination is never a place, but a new way of seeing things”




週末のお休みを使って仙台までゆき
最高に大好きな幼なじみちゃんの運転する車で、BGMにイエモンと嵐を聴きながら
塩釜〜松島をドライブしてきました。
何度きても美しい場所。

小さいころ多賀城市に住んでいたわたしにとって、宮城県は第二のふるさとも同然なので
海岸沿いところどころに見てとることができた震災の爪痕にはすごく胸が傷んだけれど
それでも
駐車場のラブリーなおじいちゃんやレストランのおばさん、お土産屋さんのおじさん・・・
会った人みんなが明るくて優しくて、あぁこの街はだいじょうぶだな、って感じました。

青々とした松島と霊験あらたかな塩竈神社。

嬉しくて楽しくって気持ちよくって懐かしい!っていう気持ちと、ちょっぴりの悲しい気持ち。
昔の思い出と今のこと、津波のこと、食べ物のこと、友達のこと、家族のこと、わたしのこと。

たった20時間のショートトリップで本当にいろんなことを考えて
笑いながら泣きそうになったりして、
きっとそれが旅ってことなんだなぁなんて、東京に帰ってきてからしみじみ思ってる。

Friday, 1 June 2012

"If you are sad, add more lipstick and attack"

時が経つのはほんとうに早いもので、
わたくし5月31日で27回目の誕生日をむかえました。
盛大にお祝いするような年でもなくなってきましたが
やっぱり誕生日というのは特別な日で、いろんな思いが頭の中をぐるぐるとします。

おかしな話だけれど、最近やっと自分が成人したような気分でいるのです。

昔みたいに「今が楽しければそれでいいじゃん」と思わなくなった。
自分が将来どうしたいのか真面目に考えだしたし、少しずつだけど貯金を再び始めたし
辛いことがあっても多少がまんできるようになったし、感情的になることも少なくなったし
何より人見知りもしなくなったし。

本を読んで映画を観て大学行って、お酒を飲んでバイトして遊びほうけていた20代前半の頃には
考えもしなかったことやできなかったことを少しずつやっていくうちに
細いながらも自分の中に、物事に対する考え方の軸ができてきたと思う。

「なにがあってもわたしはわたし。自分の責任は自分でとるで!」
みたいな気持ち。

成人と言われる年から7年が経って
やっと「わたしは大人です」って言えるようになった気がするのです。

だから、わたしからわたしへ送る2012年の誕生日プレゼントは
小さい頃から憧れていた「大人の女性の象徴」にしてみました。


真っ赤なシャネルの口紅です。



ルージュココシャインのモンテカルロ。
さくらんぼみたいな赤い色。


「ルージュココの19番を買おう」と決意して百貨店に向った31日の夜。
しかしいざカウンターに行って口紅の色味をみてみると
往年の女優さんがつけていそうな青みがかったマットな赤色の貫禄に怖じ気づいてしまい
それよりちょっぴり親しみやすい、シアーなモンテカルロちゃんを選んだのでした。

シャネルというのは、今のわたしがいくら背伸びをしたって全く釣り合わないブランドだけれど
数年後のわたしはシャネルが自然に馴染む人になってたらいいなぁなんて思っているし
 (夢みさせてくだされ)
そう考えたら、この先年齢を重ねてゆくのが楽しみになってくる。


3年程前、コンプレックスだらけで今よりずっと打たれ弱かったわたしに、当時の恋人が
「みみこは30歳になるころにはきっと強くていい女になってるに違いない」
という言葉をかけてくれて、
当時のわたしは「そんなの慰めのうちにはいらないわ!」なんて怒ってたけど
最近はその人の言葉を思い出してはちょっぴり信じてみたりしてる。

 へへ、わたし単純ですから。

シャネルの口紅をお守りに、明日からまた毎日、いっぱい笑っていっぱい働いていっぱい勉強して
理想の30歳になる準備ができますように・・・。