Wednesday, 30 May 2012

RUSSIAN ARK

銀座のメゾンエルメス10階で、うっとり夢見心地な気分になる映画を鑑賞しました。

ロシアの巨匠ソクーロフ監督による12年前の作品『エルミタージュ幻想』です。
(とてもいい邦題ではありませぬか!)


その題名のとおり、映画の舞台はサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館。
そこへやって来た仏人外交官キュスティーヌ伯爵(をモデルとする男性)とソクーロフ自身のナレーションで
物語はすすんでゆきます。

美術館内の名画を鑑賞し、それぞれの芸術論を語っているうちに
いつしか夢とも現実とも区別の付かない
不思議な不思議な時間旅行をすることになったキュスティーヌ伯爵とソクーロフ監督。
2人は300年の時を遡りながら、女帝エカテリーナ2世、ペルシャ使節団とニコライ1世、
ロシア革命を招き処刑されたニコライ2世とその家族たちに遭遇してゆくーーー。


おどろくことにこの『エルミタージュ幻想』は
映画史上初・90分ワンカットの手法で描かれた作品なのだそう。

867人の俳優、何百人ものエキストラ、3つのオーケストラ、22人の助監督、そして1台のカメラ。
編集一切無し。たった1日の本番。90分間続く本番。しかもあの、ひろーいエルミタージュ美術館で。

どひゃー!!

雪が積もったサンクトペテルブルク、宮殿の広間から広間へ、そして中庭へ。
くるくると変わるその場面は、一度たりとも途切れない。

その高度な撮影方法のおかげで、映画を観ているわたしたちも
キュスティーヌ伯爵と一緒に豪華絢爛なエルミタージュの時間旅行をしているような気分になれるのです。

贅沢!

ちょっぴり不気味な場所から豪華絢爛な広間まで様々な場所を通り抜けて
わたしたちが最後に到着するのは
舞踏会が開かれているニコライ1世の大広間。
指揮はワレリー・ゲルギエフ、演奏はマリーンスキー歌劇場管弦楽団という
この上なく豪華なマズルカにのせて真っ白なドレスの女性達と軍服の男性達が楽しそうにダンスを踊る。
そしてその後、帰途につく何千という人たちが宮殿内の階段を降りてゆく・・・。

この最後30分間のシークエンスにはただただ圧倒されて、鳥肌がたってしまいましたよ。

「周りは海だ。わたしたちは永遠に泳ぎ、永遠に生きるのです。」

そんな言葉であっという間の時間旅行は幕を閉じ、エンドロールが終わっても
わたしはなかなか現実世界に帰って来れずに、ひとりしばらくぼーっと考えていました。

「これは・・・これは夢・・・?」

(いいえ映画です)

くるくると模様のかわってゆく美しい万華鏡を覗き込んでいるような90分間。

ものすごく不思議で、ストライクゾーンど真ん中の作品でした。
DVD買おうかな。



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Tuesday, 29 May 2012

FROZEN BEER TIME!


街を行き交うビジネスマンの姿はなく、ひっそり静まり返った日曜日の大手町に突如として現れた人の山。

その場所の名前はフローズンガーデン。
蒼井優ちゃんの出演するCMを観て気になっている人が大勢いるであろう、フローズンビールのお店です。

ソフトクリームみたいにモフモフでシャリシャリの泡が新しい、よく冷えたキリンのビール!
新しくて楽しくてかわいくっておいしいビール!

枝豆、ナチョス、オリーブのおつまみと一緒に飲んだら気分はさいこう。

一足お先に真夏気分。

あぁとめどなくしあわせじゃ!

(注:写真は各テーブルにある置き物です、でへ)


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Thursday, 24 May 2012

TOKYO WANDERER



東京はおもちゃ箱みたいな街です。

新しいものと古いもの、和のものと洋のもの、綺麗なものとそうでないもの
なんでもかんでもごちゃ混ぜでおもしろい。



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Barbier×Laboureur -the birth of Art Déco-

繊細でカラフルで、大変に魅惑的なイラストをかいていたフランス出身の挿絵画家ジョルジュ・バルビエ。
素晴らしい作品の数々と裏腹に彼の知名度はいまひとつ、伝記や詳しい資料なども見つからず
わたしにとってミステリアスなアーティストのひとりでした。
今年の2月には彼についてもっと知りたいというブログ記事を書いていたほどに
バルビエという人物が気になって仕方なかったのです。

そしたらなんと、偶然か必然か
練馬区立美術館にて『バルビエ×ラブルール展 アールデコ、色彩と線描のイラストレーション』
が開催されているというではありませんか。

ともにフランスはナント出身でアールデコ期の挿絵画家である
ジョルジュ・バルビエとジャン=エミール・ラブルールの展覧会。

これは仏文学者鹿島茂氏の所有する膨大なバルビエコレクションを観ることができる大チャンス。
絶対に絶対にいかなければ。

はやる気持ちを抑えて池袋から黄色い西武線の電車に乗り、辿り着いたのは閑静な中村橋の住宅街。
子供たちとママ友であふれ返る通りの先にあった
静かな美術館内のガラス越し、細やかで鮮やかなバルビエのイラストを目にしたときの高揚感といったら!


『真夜中!または、流行のアパルトマン』
Minuit!..ou l'appartement a la mode


『君、背中を見せすぎだよ』
Le Grand Decolletage

『ケシ商人の家にて』
Chez la Marchande de Pavots


当時の高級モード誌"Gazette du Bon Ton"(後にVOGUEに吸収される)に掲載されたファッションプレートや
カサノヴァの舞台衣装などももちろん素晴らしいのだけれど

作家ポール・ヴァレリーが

「私の漠然とした言葉が
抽象の中で神話を語るあいだ
バルビエはそれを一筆でとらえる
イメージによる虚無の征服者よ!」

という詩を残しているように、挿絵画家としてのバルビエの作品は群を抜いて素晴らしい。

彼の最高傑作とも名高い『ビリチスの歌(Les Chansons de Bilitis)』の挿絵
モーリス・ド・ゲランの『散文詩(Poemes en Prose)』の挿絵
徹底したロココ趣味が目にも眩しいポール・ヴェルレーヌの『艶なる宴(Fetes Galantes)』の挿絵
・・・・
本のページに加えられた彼の絵は
言葉で紡がれた物語を読む人に的確な解釈を与えると同時に果てしない想像力を与えてくれます。
時代は移り変わっても、彼の作品は普遍的に新しい。
線の細やかさや色使い、どれもこれもが好みすぎて困っちゃうくらい。


1988年、神田の古書市で見つけたジョルジュ・バルビエの絵との出会いの衝撃を
「まさにマノン・レスコーに魅入られたシュヴァリエ・デ・グリューのそれに等しかった」と表現し
それからバルビエの作品を無我夢中でコレクションし始めたという鹿島氏の気持ちがよくわかります。
(こら、畏れ多いぞ!)


そうそう、バルビエは1905年から3年間程ロンドンに滞在してオーブリー・ビアズリーの影響を受け
Edward William Larryというイギリス風のペンネームで絵をかいていたそう。
その後「やっぱり実名の方がかっこいいやね!」と、
ペンネームから本名のジョルジュ・バルビエに戻すのですが
この時名前の"Georges"を"George"とちょっぴりイギリス風に表記することにし
それがその後ずっと定着しているのだとか。
ふふふ。こういうエピソードをわたしはずっと聞きたかったのですよ。

ビアズリーの系譜をしっかりと受け継ぎながらも
より華やかでより複雑で、より異国情緒あふれる独特の作品を多く残したジョルジュ・バルビエ。

バルビエなくしてアールデコなし。

やっぱり彼はアールヌーボーにおけるミュシャやロートレックと同じ位に有名であって然るべき人なのだ。




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Thursday, 10 May 2012

"In the cherry blossom's shade, there's no such thing as a stranger"

大学1年生の頃から、5月の連休は必ず弘前へ帰省し、おばあちゃんと2人で公園のさくら祭りへ行く。
別に約束しているわけではないのだけれど、気付けばそれは毎年恒例のイベントになっています。

去年わたしがイギリスにいてお花見ができなかった分
今回はわたしもおばあちゃんも一緒に出掛けるのを楽しみにしていました。

弘前では連日悪天候が続いていて、どうなることやらと思っていたら、
わたしたちのお花見予定日だけはきらきらに晴れてくれた。
お天道様ありがとうございまする。


全国的にも有名な弘前公園名物のソメイヨシノは
先月下旬のぽかぽか陽気で一気に開花し、すっかり葉桜になっていたけれど
濃いピンク色がかわいい八重桜や
小さい鈴のような花を咲かせるカイドウザクラ、枝垂れ桜は今が見頃。


濃淡鮮やかなピンク色の桜、パステルブルーの空、芽吹き始めたばかりの新緑・・・。
春爛漫なその様子は大層に美しくて、数ヶ月感溜め込んでいた都会生活の疲れも一気に吹き飛びました。
ちょっぴり遅い、わたしのゴールデンウイーク!

やっぱり弘前は春がいちばんいいね。



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Wednesday, 2 May 2012

Eternity of Eternal Eternity

随分と長いこと電車に揺られ、荒川の土手を覆っていたピンクのシバザクラに目を奪われたり
遠慮気味に雨が降るだだっ広い外の景色を眺めたりしながら、北浦和までやって参りました。

埼玉県近代美術館で催されている、草間彌生『永遠の永遠の永遠』を観るためです。

前衛彫刻家、画家、小説家、詩人・デザイナーと多岐に渡って活躍する世界の草間彌生によって制作された、
50点の連作モノクロ絵画「愛はとこしえ」
それと対照的に生命力にあふれる鮮やかな色彩が眩しい「わが永遠の魂」シリーズ
新作ポートレート3点と、彫刻作品。
草間彌生という希有な才能をもった芸術家の、最先端の挑戦を、ぜひご確認ください。
とにもかくにも、圧倒されました。

まずは絵画。
キャンバスの中、繊細に、時に荒々しく、執拗に執拗に繰り返される
水玉、網目模様、目玉、人間の横顔のモチーフは
それぞれが組み合わさって得体のしれない生物のように見える。「ぐにゃり」と動き出しそうな。
オブセッションの極み。

そんな絵画作品たちにつけられているタイトルもまた、非常に良いのです。
『花咲けるニューヨーク』『うるわしき夜』『星の住処』
『青春は死と生を共にたずさえて、あなたの背後から音もなくしのびよってくる』
『自分の死の後も宇宙は何ごともなく進んでいる』
『花園にうずもれた心』『青い星くず』『私大好き、とても好き』
『失恋の痛み、そして自殺したい』『心が傷んだときの自画像』ーーー。

言葉によって絵にはもう一度生命が吹き込まれ、観る人たちの目にいきいきと写るのだなぁ。


次に空間作品たち。
会場にあったいくつかのインスタレーションは写真撮影可だったので、ここに載せておきます。

会場の吹き抜けにお目見えしている10メートルのヤヨイちゃんバルーン。
3月の六本木アートナイトに行くことができなかったので、今回お目にかかれて感無量です。
未来を夢見ていた幼少期の草間彌生の姿、そして同時に現在の草間彌生の姿でもあるそうな。 

 美術館の窓も全てドット柄にデコレーションされています。
あっちにも、こっちにも、浸食する水玉。

 『大いなる巨大な南瓜』
ドデカボチャ。でっぷりとしたその佇まいに、思わずくすっと笑ってしまう。

『チューリップに愛をこめて、永遠に祈る』
上も下も右も左も、一面が水玉模様の異空間。

 チューリップの葉っぱの下に、サインを発見。

『明日咲く花』
カラフルで毒々しくて、最高に生命力あふれる作品。

どの水玉空間作品も捨てがたいけれど、インスタレーションの中で一番よかったのは『魂の灯』。
鏡と丸い電飾で埋め尽くされた暗くて小さな部屋に1人ずつ入って感じる、体験型の作品です。
電飾の水玉が鏡に反射して、とてつもなく美しかったです。
四方に写る自分の姿が、無限に広がる水玉の世界にぽっかりと浮いているようで、不思議な感じ。
途方もなく果てしなくつづく「魂の灯」の世界ににわたしひとり。
今までにない幻想的な経験をさせて頂きました。あれはね、本当に素晴らしかった。
もういちど入りたい!!!


水玉、ドット、水玉、ドット、水玉、水玉、水玉。
彼女の描く水玉はグロテスクで、痛々しくて、セクシャルで、暗くて、それでいて時々優しい。

「人体に水玉模様を描くことによって、その人は自己を消滅し、宇宙の自然に帰るのだ。」
(自伝『無限の網』より)

草間彌生にとっての水玉は、おまじないのようなものなのかもしれません。
自分を襲う幻聴幻覚から身を守るための。恐怖を追い払うための。


御年83歳(!)の草間ワールドは、流れるようにかたちを変えて増殖し
今にも世界の全てを飲み込んでしまいそう・・・。

そう、「未来は私のもの」!



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