Monday, 31 December 2012

On New Year's Eve


生まれて初めて過ごす、ひとりぼっちの大晦日。
そんなの死ねるくらいに寂しいに決まってるじゃん、やだやだ弘前へ帰りたい!なんて思ってたのに
いざ31日の夜が来てみれば悠々自適に狭い部屋の中で寛いでいる自分がいて
なんだか苦笑してしまった。

2012年があっという間に終わってゆく。
短いようで、ほんとうに色々あった一年。

12ヶ月前のわたしと今のわたしとでは考えていることもやっていることも全然違うのだけれど
それは気が変わったっていう訳じゃなく、自分なりに成長したんだって信じていたりします。

だからわたしは来年もっと上へゆくよ。

お仕事も、やりたいことも、たくさんあるんだ。

むん!


Sunday, 30 December 2012

"I've only been in love with a beer bottle and a mirror"

タイトルは、シド・ヴィシャスのお言葉。

ふふふ。かっこいいね。


今日は2012年の飲み納めをして参りました。
一番最後に飲んだのは
真っ赤なルビーの色をしたベルギー産のチェリービール、大好きなベルビュークリーク。


それは苦くて甘くて時々すっぱくて、楽しくなれちゃうワンダフルな飲み物。

お酒愛してる。今までもこれからも。



Saturday, 29 December 2012

DIANA VREELAND The Eye has to Travel

久しぶりにシネマライズで映画を観ました。
激動の・・・変化の20世紀において、50年もの間華やかなファッション業界の中心的人物であり続けた
伝説の女ダイアナ・ヴリーランドのドキュメンタリー映画。

ファッション業界のことを全然知らないわたしでも
「アナ・ウィンター以前のVOGUEの鬼編集長」として彼女の名前くらいは聞いたことがあって、
その時はただそれだけだったのだけど
今年発売された本『女子とニューヨーク』の中でヴリーランドの名前を再び目にしたとき
なんだか無性に興味を掻き立てられてしまい、彼女のことをもっと知りたいと思いました。

だから素晴らしいタイミングで公開されたこの映画を見逃す訳にはいかなかったのです。

結論。
お洋服に興味があってもなくっても
これは地球に生きる全てのワーキングウーマンの為の作品だと!


映画がはじまって早々目にとびこんできた、ダイアナの真っ赤な部屋。
大きなソファーにそれと同じ生地を張り巡らせた壁、数々の装飾品と花で飾られたそのリビングを
彼女は「地獄の庭」と呼んだという・・・。
もうこのシーンだけで「地獄の庭ってなに!すてきすぎるんですけど!」と心を鷲掴みにされましたよ。

『パリの恋人』と『ポリーマグーお前は誰だ』(←大好きな映画!)、
シャネルや「王冠をかけた恋」で有名なウォリスとエドワード、ツィギーにセジウィック、
ジャッキー・ケネディ、ミック・ジャガー。
これらのわたしの好きなもの、わたしの興味の対象が全部ダイアナと繋がっている。
インタビューの合間に流れる映画のワンシーンやセレブリティのワンショットに心が踊り
「あれもこれも全部繋がっていたんだ!」と
ミステリー小説を読み終えたときの爽快感、
あるいは難しい数学の問題を解き終えた後ひとりで感じる感動(え)
のような気分を味わいました。

今までにない流行を創造し、人々を驚かせる。
ハーパース・バザーで敏腕編集者の名前を欲しいままにし、その後VOGUEの編集長に登りつめた彼女は
「女性が働きに出るのは家が貧しいからだ」という当時の世の中の考えを変えた人でもあります。
女性が働くのは自分という存在のため。女性が働くのは最高にかっこいいこと!と。
華やかな彼女の経歴の裏には決して揺らぐことのない信念がありました。
そんな彼女の名言の数々(言葉の選び方が絶妙なの!)も、この映画の見所です。

一番印象に残っているのはこんな言葉。

"You gotta have style. It helps you get down the stairs. It helps you get up in the morning.
It's a way of life. Without it, you're nobody. I'm not talking about lots of clothes."

スタイルこそが全て。

両腕にはじゃらじゃらとブレスレットをつけ、真っ赤なネイルでタバコをふかしながら
しゃがれた大きな声でインタビュアーの質問にこたえる彼女の姿は誰にも真似できないものだった。

朝起きたときから夜寝るまで、服だけじゃなく、生活、生き方・・・
どんなときも「自分らしい」スタイルを。
細かいところにこそ手をかける。

来年のモットーにしようと思います。

『ダイアナ・ヴリーランド』はインスピレーションの泉のような作品。
この作品を観たあとはいつもの渋谷の街も少しきらきらして見えました。
わたしももっと頑張ろう、自分らしい人生を勝ち取るのだ!って。


「ものすごく面白かった」「感動した」という映画は多々あれど、
自分の人生感が変わっちゃうくらいに心を動かされる映画ってそんなにないと思うんです。

本当に今年この映画に出会えてよかった。合掌。


Tuesday, 25 December 2012

Merry Christmas Everyone!


みなさまベリーメリークリスマス !!!

↑こんなにかわいいemailがイギリスから届いてて、それだけでうれしかった。

わたしは今も酔っぱらっています。

にせんじゅうにねんが終わるね。


Sunday, 23 December 2012

Les Adieux a la Reine

レアちゃん、ヴェルサイユ宮殿、フランス革命。

この3つのキーワードを聞いただけで心が踊る・・・。
観たくて観たくてたまらなかった映画『マリーアントワネットに別れをつげて』。


舞台は18世紀のフランス。少しづつ革命の足音が近づくヴェルサイユで起こった、3日間の物語。
主人公はマリーアントワネットの朗読係として宮殿に仕えているシドニー・ラボルト。
王妃に心酔している彼女は言います。

「刺繍はとっても得意だけれど、刺繍係になんてなりたくない。王妃にお会いできないから。
朗読係なら、毎日お会いできる。」

いつもとかわらない毎日が続くかのように思えたある日、
宮殿内は騒々しさと緊張感に包まれました。
1789年7月14日。バスティーユ監獄が市民らに襲撃され陥落。かの有名なフランス革命が始まったのです。
フランス王妃マリーアントワネットと、彼女の寵愛を受ける悪名高きポリニャック夫人を含む
286人のギロチンリストを突きつけられたヴェルサイユ・・・。
貴族も使用人たちも私利私欲に走り出し、次々と城を去ってゆく。

それでも健気に王妃への忠誠を誓うシドニーに
マリーアントワネットは恐ろしい命令を突きつけるのです。

「ポリニャック夫人の身代わりになりなさい」と。


マリーアントワネットに朗読係の女がいたという歴史的事実から創作されたストーリー。
朗読係と王妃とポリニャック夫人、女3人の三角関係という点で
今まで幾度も映画化され、語り尽くされた感のあるマリーアントワネット話とは一線を画しているし
あれだけ存在感の強い王妃を差し置いて、主役は使用人の朗読係!というのがとても興味深かったです。
革命が始まった夜の宮殿内の緊張感とせわしなさには、観てるこちらもハラハラさせられた。

そ し て

「これから一体絶対シドニーはどうなってしまうのだろう!」

という思いが頂点に達したところで

ぷつっと、物語は、終わって、しまった・・・。

エンドロールを眺めながら
「ありゃ?本当にもう終わり?」と思わず我が目を疑ってしまいましたよう。

きっとあそこで終わることに意味があるのでしょう。そうだ、きっとそうなのだよ。
ストーリーは全て予告編で語り尽くされていて、それ以下でもそれ以上でもなかった。
ただ、それだけのこと。

鑑賞前の期待値が高かったのでちょっぴり裏切られたような切ない気持ちにはなりましたが
不機嫌顔で物憂げで、それでいてとびきりチャーミングなレアちゃんを堪能できたので満足とします。
あ、そうそう
ヴィルジニー・ルドワイヤン演じるポリニャック夫人の裸体は絵画のように美しかったのですよ。


それにしても「フランス革命」というものは
他のどんな歴史的大事件よりもとんでもない魅力を持ってわたしの心に入ってくるのです。

それはもちろん中学生の時友人に借りて勉強そっちのけで読みふけった
『ベルサイユのばら』のせいなのだけれど。

男装の麗人オスカルに憧れ、アンドレに恋をし、笑ってどきどきして、たくさん泣いた。
ベルばらはわたしのフランス革命の教科書でした。
当時リアルタイムで連載されていたどのマンガよりもわたしはベルばらに陶酔していて
アニメ版のテーマソングを携帯電話の着メロ(まだ3和音だったの)に設定する程に作品を愛していました。

フランス革命と聞けばいつだってその時の気持ちを思い出すし
そこで起こったであろう血と愛の無数のドラマに、ひとりで思いを馳せてはどきどきしたりして
14歳の頃から一度たりとも飽きることのない興味の対象、それがフランス革命だったりする。

だからわたしは王妃にさよならは言えないのです。今までもこれからもずっと。


(昨日から『レ・ミゼラブル』も公開されたし、日本の年末映画はフランス革命にジャックされ中であるね)


Saturday, 22 December 2012

MARUNOUCHI WINTER


去年の紅白歌合戦で嵐のステージに採用されたことにより一躍有名になった
「プロジェクションマッピング」という技術が
今年新しく、そしてよりレトロになった東京駅の駅舎をスクリーンに
幻想的で魔法みたいな光の画を映し出す・・・。
そんな今年の締めくくりにぴったりのステキイベント「東京ミチテラス」を一目見るために
東京駅へと繰り出してきました。

18時から点灯だと聞いていたのに、すでに17時過ぎからイベントは前倒しで始まっており
丸の内口を降り立ったわたしたちを待ち構えていたのは
数メートルごとに配置され、拡声器片手に大声を張りあげている警備の方々と
ディズニーランドもびっくりの、黒山の人だかり。

「ぎゃー!全然みえない!」

お気に入りのブーツは踏まれるわ、前からも後ろからもぶつかられるわ、
marcのコートのボタンはすれ違いざまの人に引っかかってとれるわで(実話)
ぜんぜんロマンチックじゃなかったので
早々にプロジェクションマッピング鑑賞を諦めて丸の内仲通りの方面へと避難・・・。

毎年冬の風物詩であるイルミネーションの並木道を眺め、丸ビルをぶらぶらして
わたしたちの丸の内の夜は終わってしまったのでした。

でも綺麗だったからよしとする。


Saturday, 15 December 2012

My First Turkish Beer :9


溜池山王にて初めていただいたトルコのビール。なんともあっさりとしてて飲みやすかったです。

お店の壁もトルコ風で素敵だった。




Sunday, 9 December 2012

RUBY SPARKS

来週日本公開となるこちらの映画、楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
笑って泣いた『リトルミスサンシャイン』の監督が手掛ける新作『ルビー・スパークス』。


19歳で華々しくデビューし、天才ともてはやされたのも遥か昔のこと。
長い長いスランプに陥っている小説家のカルヴィン。
彼はセラピーの一環として薦められるままに、夢に出てきた理想の女の子を題材に物語を書きはじめます。
とびきりキュートで天真爛漫な彼女の名前はルビー・スパークス。
彼女のことを考えればスランプなんてどこへやら、次々と小説のアイディアが沸いてくる・・・。
彼は物語の中のルビーに恋をしてしまったかの様に夢中でタイプライターを打ち、
執筆に没頭し始めるのですが。
ある日の朝目を覚ますと、彼の目の前に本物のルビーが現れたからさぁ大変。

想像通りの容貌に設定通りのキャラクター。彼が書いたとおりに行動する彼女。

彼女は本物か、はたまたカルヴィンの妄想の産物か?

・・・・・・

ポップで独特なスタイリングとシンプルかつカラフルな画面構成から溢れ出るハッピームードを介して
人間の不器用さや寂しさや欲望なんかがぽろぽろと見え隠れしている秀作。


この映画を観て思い出したのは
多くの人が言っているように『(500)日のサマー』や『ラースと、その彼女』でした。
内気で社交性のない主人公の男の子が、彼女を自分の理想とする女の子のイメージに当てはめる。
「可愛い服に身を包んだ不思議な女の子。とにかく魅力的で自由で、たまにふりまわされちゃうんだけれど
いつだって自分のことを大好きでいてくれる女の子。」
しかしあるとき彼女の行動が自分の思い通りにならなくって
男はどっかーんと怒り狂ったり絶望につきおとされる。
そんな映画。

罪悪感と背徳感に苛まれながらも
空想の具現化であるルビーをタイプライターによって支配しようとするカルヴィン。
それは恋愛下手な男のひとりよがりで、狂気じみているのだけれど
最終的にははっと我にかえってあることを決断する。でっかい愛をもって。

だってだって、思い通りにいかないから人生は面白いのであるよ、と。


実生活でもパートナー同士であるポール・ダノとゾーイ・カザン。
ザ・文化系のカップルふたりが主役を務めている本作は
カカオ95%のチョコレートのようにビタースイートな映画でした。

かわいいだけじゃ終わらない。

ロマンティックでたまに心がちくっとするようなラブファンタジー。
12月という季節にぴったりだと思います。


Saturday, 8 December 2012

Where will your shoes take you?


秋がはじまりそうな頃からずっとショートブーツを探していたのだけど
探せど探せど理想のものは見つからなくて
「もう今年は諦めようかな」と思っていたところに
ある日ひょいっと、
①シンプル ②ヒールが8-9cm ③ヒールが細くない ④ジッパー部分がゴールド ⑤トウが丸っこい形
という思い描いていた通りのブーツを見つけました。

百貨店のシューズコーナーに大事そうに並べられていたのを、すぐにお買い上げ。
ちょっと予算オーバーだったのだけど全く躊躇わなかった・・・。
本当に欲しいものって、見つけた瞬間本当にびびっとくるんだもの!

このブーツってばとっても軽いはき心地で、足に羽が生えたみたい。

明日はこれを履いて映画とショッピングとホルモン焼き肉へ行くんだ。


Friday, 30 November 2012

HICK

クロエちゃん、エディーボーイ、そしてブレイク・ライヴリー。
この旬な3人の名前が並んでいるだけで「HICK観てみたいなぁ」と思う人は
大勢いるだろうし、大勢いただろうし、わたしもその1人でした。

が! が! が!

もうなにこれ最高に最低な映画!
(ありったけの愛をこめて)


アメリカの中西部、ど田舎の小さな町に住む少女ルリは13歳の誕生日を迎えたばかり。
しかし事もあろうにその直後両親が相次いで蒸発。
独りきりになってしまった彼女はカバンに洋服と銃と少しのお金を詰めて決意するのです。
憧れのラスベガスへ行こうと。

道中様々なトラブルにあいながら、彼女はヒッチハイクで都会を目指す・・・。

なーんて
センチメンタルな中にスリルと希望が混じり合っていて、なかなか魅力的なストーリーの導入部分。

クロエちゃんはとにかくキュートで、お洋服や小物なんかもセンスいいし(虹色パンツ!)
彼女のお母さん役はジュリエット・ルイスだし
ピンク色のタバコをふかすブレイク・ライブリーもはまり役だし
エディーボーイもならず者の役をがんばってたし
一瞬だけローリー・カルキン君が出てるし
音楽も映画の雰囲気にぴったりでいいかんじだし
途中まではよかった。そう非常によかったのですよ。

しかしなんということでしょう。

途中からこのお話は
いきなりああなってそうなって、気付けばあれっ?と、非常に中途半端で意味不明な展開を迎えます。
素材題材がよかっただけに、脚本の後半部分の雑さに涙がでてきそうです。しくしく。

サイコホラーな映画にするならもっと突き抜けて完璧にやってほしかった。
それができないなら
どこにも行き場のない風変わりな2人が社会の片隅で反発し合いながらも心を通わせ合う『レオン』的展開に
持っていけばよかったのになぁ・・・なんて考えたり、考えなかったり。


うーん。うーん。うーん。


13歳の家出は、何も学ばなくたって何を失敗したって、全然いいと思うけど。

「あぁもったいない。」

そんな言葉を百万回言っても足りないような映画でした。


Tuesday, 27 November 2012

"Autumn is a second spring when every leaf is a flower"


「秋は全ての葉が花となる2つ目の春だ。」
そういったのはアルベール・カミュらしい。


わたしの引っ越してきたマンションの隣には大きな霊園あって、部屋のベランダからその様子がよく見えます。

「お墓のとなりに住むなんて気味悪くないの?」と聞かれることもあるけれど
わたしはそういったことを気にする人間ではないし、
たくさんの木に囲まれていて花壇とベンチと小さな広場があるその霊園には
犬の散歩をする人、下校途中の小学生、ボール遊びをする親子、おしゃべりを楽しむお年寄りという風に
お墓参り以外の目的の人がちらほら集まったりしていて、そういうところがいいなぁと思ったりしている。

大袈裟かもしれないけれどそこはまるで
パリのペール・ラシェーズ墓地やストックホルムのスコーグスシュルコゴーデンのよう。
綺麗で明るい雰囲気で訳もなく行きたくなる。
そんな場所なので休日の昼にはわたしもよくそこをふらふらしています。


今は紅葉まっさかりの霊園。


大きな2本のイチョウの木、もみじの木、名前を知らない木。
側にいたおじいちゃんたちの「政治家は一体何をしてるのだ」といった類いの嘆きの会話を聞きながら
赤オレンジ黄色になった葉っぱの集まりをじっと見ていたら
カミュの言っていたように、それらが花に見えてきたから不思議。
枯れてなくなってしまう前の一瞬の美しさってこういうことなのかしらと思う。

寂しくて、その反動で強くなる。そんな季節であーる。


帰り際、突然の「みぎゃー!」「ざざざざー」という音とともに
黒ブチの猫とそれを追いかけて低空飛行する大きな大きなカラスが
ものすごいスピードでわたしの目の前を横切ってゆきました。



Monday, 26 November 2012

QUATRE NUITS D'UN REVEUR

ロベール・ブレッソンの『白夜』。
ドストエフスキーの短編小説を基に制作されたこの幻の映画が
ニュープリントでユーロスペースに甦った。
わたしが観に行った日、平日にも関わらず劇場が大変に賑わっていたのを覚えています。

映画を見終わったとき
「なぜわたしは原作となったドストエフスキーの小説を読まず、
ルキノ・ヴィスコンティ版の『白夜』も観ないまま、のこのことここへ来てしまったのか!
色々比べられたらもっと楽しかったのに!」
と激しく後悔しました。


原作の舞台は19世紀のペテルブルクらしいのですが、この映画では70年代のパリに移されています。


パリ。
画家のジャックは、夜のポンヌフで思い詰めた表情をしている美しい女性マルトを見かけます。
一旦通り過ぎるふりをしてから再びポンヌフへ目をやると、彼女は今にもセーヌ川に身を投げようとしている。

恋人に「自分が結婚できる身分になったら1年後ここで会おう。」と言われており
今日が丁度その1年後だというのに、彼が現れる気配は一向になく絶望しているのだ、と彼女はいいました。

ジャックはマルトに惹かれているという感情をひた隠しにして
次の日も、また次の日も、彼女とポンヌフで会うようになるのですが・・・。


夜のポンヌフ、黒いマント、白いネグリジェ、テープレコーダー、
石畳をこつこつと歩く靴音、
「あなたはいい人、だってわたしのことが好きじゃないから」
きらきら光るセーヌ川の舟、流しのギター弾き。
全体を通してというよりも断片的なイメージの方が強く頭にのこる映画でした。


プロの俳優の起用を好まなかったというブレッソン。
この映画も例にもれず主人公達は素人を起用し、台詞に抑揚は無く表情だってほとんどが無表情で
まるで美しいだけの人形のようです。
そのかわりに
カメラでクローズアップされ丁寧に描写される手の動き、艶かしい脚の様子、肌の質感が
静かに男女の心情を表現しているのでした。
ゆっくりとドアを開けるジャックの手のカットがとても印象的だったなぁ。
とても美しい手をしていたの。

家族や友人の気配が全くなく、孤独な生活をしている様子のジャック。
野原ででんぐり返しをしてはひとり喜んだり、街で見知らぬ美しい人を見かける度にこっそりと後をつけたり
運命の女性との出会いを妄想してはその詩的なストーリーをテープレコーダーにせっせと録音したり
元からなかなかに変わった青年なのですが、
マルトに恋をしてからというもの
「マルト、マルト、マルト・・・」
と延々彼女の名前をテープレコーダーに吹き込んでそれをジャケットの下に隠して持ち歩き
ついには公共の乗り物バスの中でテープを再生し始めたものだから、
あぁあなたの変人ぶりはエスカレートするばかりですねと少し笑ってしまった。
笑ったけれど、なんだか彼の深い深い寂しさを知った気がして、同時に悲しくもなりました。

こういった主人公はやっぱり最後裏切られる運命にある。
そんなことは目に見えているのだけど
少しだけの明るい希望も持ちながらこの映画を観てた。

儚く美しく、虚ろで夢のような4日間の物語でした。


Sunday, 25 November 2012

Happy Moroccan Day♪


渋谷から表参道までをてくてくと歩き
バブーシュ、タッセル、モロッカングラスの並ぶモロッコ雑貨やさん「ダールファティマ」に寄り道。
それから外苑前までてくてくと歩いて「タジンや」へ。
ハリラスープ、モロッコ風サラダ、チキンケバブとクスクス、タジン鍋、デザート&ミントティー(+お酒)
という土曜のモロッコ料理フルコースを頂いて
すっかりほこりっぽい砂漠の国モロッコへ思いを馳せました。

しあわせな休日であった。

あーモロッコにも行きたい。



Saturday, 24 November 2012

The Silent Miaow

猫はお好きですか。
そっけなくて、自由気ままで、とびきりに愛らしい猫という生き物。
彼らがなにを考えているか知りたいと思ったことが一度でもあるならば
この本が役に立つかもしれません・・・。

自身も猫好きとして有名だった作家ポール・ギャリコによって1964年に書かれた
その名も『猫語の教科書』。
猫もの小説のベストセラー。

今日の夜に本屋さんでこの本を購入し
お風呂に浸かっている1時間弱の間に読み終えてしまった。
かわいい猫の写真も付いていて、とても読みやすい本です。


なんでもこの本が完成するまでの経緯というのはちょっぴり変わっていたという・・・。
ある朝、大手出版社に勤める編集者の自宅玄関前に分厚い原稿の束が届きます。
それを開けてみると、並んでいたのは文字と数字の混じり合った解読不能な文章の山。
困り果てた編集者から相談を受けて謎の文章の解読を始めたギャリコはとんでもない事実を発見するのでした。

「この原稿は人間によって書かれたものではない。
恐ろしく頭のよい猫によって書かれた、この世の全ての猫のための、生き残りマニュアルだ。」

そう、この本は
生後6ヶ月でお母さんを交通事故で亡くし、それからというもの人間の家を「乗っ取り」生きてきたという
非常に逞しくて賢い名無しの猫(♀)によって書かれたものなのであります。


正しいタイトルは『猫語の教科書ー子猫、のら猫、捨て猫たちに覚えてほしいこと』
(The Silent Miaow: A manual for Kittens, Strays, and Homeless Cats)


「人間の家をのっとる方法」という衝撃的な(?)第1章から始まり
人間ってどういう生き物?おいしいものを食べるには?などなど全19章からなる本作。
わたしたち人間にうまく取り入って快適な生活を手に入れる方法だけに焦点をあてた、
計算高い猫による猫の為の腹黒ハウツー本です。

「地獄の沙汰も金しだい、ということわざだってあるでしょう?もし貧乏な家を乗っ取りたいというなら
それは自由だけど、わたしならやめておくわ。」

「男性は、コツさえつかめば操縦は簡単です。男というものはもともと不安定な生き物で、
とくに家庭の中では矛盾に苦しんでいるので、この矛盾をじょうずに利用するのです。」

「女性は猫と同じく生まれながらのハンターで、本能的で、獲物を扱うときには残酷でさえあります。
女達は、女につかまり征服された男達よりもずっと賢いのです。猫が男をモノにする手練手管を
女性は同じ目的で、もう使っています。」

・・・やだ猫こわい・・・!上から目線すぎる・・・!

しかしそれだけにとどまらず
さらに目も覚める思いをしたのは次の文を読んだときでした。

「人間の家を支配するためには、自分の魅力をどう人間にアピールすべきか知っていなくてはなりません。
表情、姿勢、しぐさ、顔や体の動き、全部を使って自分の魅力を輝かせるの。
だって猫はどんな時でも、妖艶でしとやかで謎と魅惑に満ち、
セクシーで官能的で、快活で愛嬌に溢れ、面白くて人好きがして、愛の魔法で心をかきみだし
心をそそり心を満たす、ほれぼれと可愛らしい存在でありづけなければならないんですから。」

こ・・・これは・・・

これは本当に猫の為のマニュアルですか?
「モテる女子になる!」とかいう類いの、女性向けセルフヘルプ本じゃなくて?

あぁそうか、モテる女性と猫はよく似ているのだな。
そして猫は赤文字系雑誌に代表されるような「モテ」を日々意識して行動しているのか。

・・・・・

やっぱり猫こわい!!!


好きな人を、彼氏を、モテスキルの高い猫に横取りされてしまう。
一瞬そんな不安に苛まれましたよ・・・。
(本当にわたしの妄想はどうしようもない)


人間界での猫の処世術を語っていると同時に
わたしたち人間の本質を、皮肉たっぷりに、面白可笑しくずばっと言い当てているこの本。
最後にはしっかり人間に対する敬意と愛情を示してくれたりする。
読み終わる頃にはすっかり
ユーモアとアメとムチを絶妙に使い分けるこの猫の虜になってしまいました。


こんなに賢くて可愛い猫が、明日わたしの部屋を「乗っ取りに」来てくれたらいいのに!




Friday, 23 November 2012

Treadaway Twins


ダブルパーフェクション。
なんとまぁ美しい双子だこと・・・。


Wednesday, 21 November 2012

Tonight You are Mine/One Night One Love

もう一度なんて言わず、飽きるまで見返し続けたい!!

最近観た映画の中で一番わたし好みだった作品。
うぅぅぅぅぅぅぅ。(声にならない声)



日本では『ワンナイトワンラブ』というちょっと恥ずかしいタイトルが付いているこの作品、
原題も"You Instead/Tonight You’re Mine"なのでどっちもどっちなのですが。
もしもあなたが音楽好きで、野外フェスで感じる高揚感を知っていて、ついでに少女マンガも好きならば
絶対に、絶対に、絶対にこの映画が気に入るはずである!


スコットランド最大級の夏フェスT in the Parkに出演するため会場入りした人気絶頂のアーティストアダム。
彼は些細なことから新人のガールズバンドと舞台裏で大げんかを始めてしまいます。
車を揺らし取っ組み合い寸前にまでヒートアップしたアダムとDirty Pinksのボーカルモレロ・・・
そこへ突然謎の黒人男性がやって来て
「夢を与える存在のミュージシャン同士がケンカしなさんな」
と、2人を手錠で繋いでしまうのです。
(何故彼が手錠を持っていたのかなんて野暮なことは疑問に思わないようにしましょう。)

あの手この手で手錠を外そうと試みるもその都度失敗に終わるアダムとモレロ。
悲嘆にくれお互いを罵倒しあうその間にもバンドの出演時間は刻一刻と近づいてくる。
この2人は、ライブは、一体どうなっちゃうのよー!

・・・・

2010年にスコットランドで開催された実際のT in the Parkが舞台のこの映画。
そう、俳優さんと撮影クルーはフェスの開催期間であったたったの5日間、
フェス会場に寝泊まりして本物のミュージシャンのライブを背景にしながらこの映画を完成させたのでした。
劇中にはGOSSIPやCarvin Harrisのハイボルテージなパフォーマンスシーンも登場しておりますし
スコットランドはグラスゴー出身のJo Mangoのしっとりとした歌声は本当に素晴らしくて
帰宅してから思わずitunesで彼女のアルバムを買ってしまったほど。
音が、舞台が、熱気が、全て本物。
だから映画が上映されていた80分間だけ、夜の渋谷にいながら、
2010年のT in the Parkに紛れ込んでしまったような気分に陥りました。
手錠に繋がれたままのアダムがモレロの参加するDirty Pinksのライブで即興演奏するシーンは
紛れもなくこの映画のハイライトでありましたよ。鳥肌たっちゃったもんね。


この映画の音楽監督はThe Vaselinesのユージン・ケリー(!)で
彼がアダムの所属する架空のデュオThe Makesの楽曲を全て担当したそうなのですが
Vaselinesのオルタナロックサウンドはどこへやら
The Makesの音楽はMGMTやFoster the Peopleを彷彿とさせるエレクトロポップなもので
わたしはちょっと・・・いやかなり驚いてしまいましたよ。
きっとこの頃の音楽の流行を考えてのことなのでしょうね。
ロックスター風な出で立ちのアダムと正反対に、彼の相方のタイコ君はメガネをかけた文化系で
映画冒頭「この人MGMTのベンっぽい!」なんて思ったのだけど、結果その通りであった。


モテモテでウーマナイザー呼ばわりされる主人公のアダムを演じていたルーク・トレダウェイは
なんとまぁ伝説の(←)結合体双生児ロックバンドムービー『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』で
主役のバリーを演じていた男の子と同一人物であったと後から知って
言いようも無いくらいに納得したし嬉しかった。
『ブラザーズ〜』はわたしの大好きな映画の1つだったから。
歌の上手さはそのままに、ずるい位いけめんに成長しておられたのですね、ルークさん・・・。



この映画は確実にわたしの大好きな作品となりました。
ちょっぴりエンディングは"Corny"だった気がするけれど、そこも含めて
わたしにとってこの映画は素晴らしくすてきなおとぎ話でしたよーう!

「本物の中にある架空のもの」
「手錠に繋がれてはじまる恋」


フジロックやサマソニに参加したことがある方ならば少なからずご存知のはずです。
夏フェスに「ありえない」の5文字は存在しないのだということを。

Monday, 19 November 2012

the simplest solution is always the best

窓をあけたら冬の匂いがした東京。


エアコンの暖房を付けても部屋がじんじんと寒かったので
昼間から湯船にお湯をはって1時間くらい半身浴をした。
その後ベッドの上で布団にくるまりながら
お姉様からお借りしていた『アデュー・フィリピーヌ』のDVDを観ていたら
うとうとと眠りにおちてしまって、気がついたら夕方の5時でありました。
化粧もせず、マンションの外へ一歩も出ないで、わたしひとりだけ今日という一日が終わってゆくよ。


貴重な貴重な休日には自分の好きなことしかやらないと決めている。
気ののらないお誘いは心を鬼にして断るし
会いたい人にしか会わないし、1人で過ごすことだって多い。
とにかく、自分の心のおもむくままにその日を過ごすのです。

そんなシンプルかつ正しい休日のおかげでストレスフリーな毎日が送れるのだなぁ。
(みつを風)


・・・あったかいヒーターを買おう。

Thursday, 15 November 2012

Salmon Fishing in the Yemen

この映画の存在を知ったとき、
砂漠のイエメンに鮭を泳がせようとみんなが奮闘するストーリーだなんて
この作品はきっとNHKの『プロジェクトX』的なアツい感動巨編なのだろう。
それならばわたしのこの映画を観たい度はそんなに高くないやねぇ・・・。
なんて思っていたのだけど!

純粋にとても面白かったんだなこれが。


「砂漠で鮭が釣れるようにしてくれ。」
イエメンの大富豪から無理難題を依頼されたコンサルタントのハリエット。
水産学者のジョーンズ博士に相談するも、"fundamentally unfeasible" と、あっさり断られてしまいます。
しかしこの話が中東との緊張状態をどうにか緩和したい英国の首相広報官の耳に入るやいなや
すぐさま英外務省も支援を決定。
一見荒唐無稽に思えた計画が、首相政府を巻き込んだ国家の一大プロジェクトとなってしまうーーー
という話。


エミリー・ブラント演じる容姿端麗頭脳明晰で仕事もバリバリ、でもちょっと脆い女性ハリエット、
ユアン・マクレガー扮する真面目で冴えない魚一筋の学者ジョーンズに加えて
クリスティン・スコット・トーマスのかなり振り切れた演技が強烈な首相広報官マックスウェルの存在が
この映画に大変気持ちのよいコメディ色を与えてくれていて、はじめの想像よりずっと笑えた映画でした。
(何度か出てくるマックスウェルのPCチャット用のアイコン表情が最高なんだよ)

そして何より
釣りにも魚にも全く明るくないわたしがこの映画を楽しめた最大の理由は
ロマンスという女性ならきっとみんなが大好きな要素が
中盤から後半にかけてたっぷり詰まっていたからだと思います。でへ!

アフガニスタンへ派遣されている軍人の恋人を持つハリエットと
長年の結婚生活で妻との関係はとうに冷えきっているジョーンズ博士。

ひとつのプロジェクトを達成する為に強力し合っていたビジネスパートナーの2人が
男女としてお互い惹かれ合うのに、そう長い時間はかからなかったのである。
オフィスラブならぬイエメンde鮭ラブ。(なにそれ)

映画の途中からはこの恋のゆくえが気になって気になって
わたしの頭の中は明らかに
ハリエット&ジョーンズのラブ>鮭放流計画
になってしまったのでしたが・・・。

それでも
「天然の鮭を国外に持ち出すなど言語同断!」という英国環境省の猛反対、
「我々は西欧化など望まぬ!川や鮭など不要!」というイエメンの過激派による攻撃などに邪魔されて
全く一筋縄にはいかないこの計画を成し遂げるために
何度か諦めそうになったって、再び這い上がり夢を実現させようとする人たちの姿には
最後やっぱりうるうるしてしまいましたよう。

ありとあらゆる現実世界の不可能を可能にしてくれる映画の魔法を観た気がしました。

基本いつだってひねくれたものの考え方をする私ですが
バカみたいだって格好悪くたっていいじゃないか。
好きな人にはきちんと好きだって伝えて、たくさん傷ついたって
どろどろになるまで頑張ったら必ずやそれは報われるのだって、
そういうのも少し信じてみようかな、なんて思った映画でした。



Saturday, 10 November 2012

Hello November



おばあちゃんが送ってくれた大きな大きな栗。
美容に疎いわたしの最近のお気に入り、いい香りのするRMKのフェイススクラブと翡翠で作られたかっさ。
寒い日には無性に食べたくなるスープストックトーキョーのあったかスープ。
秋薔薇が見頃だった旧古河庭園。
千疋屋で我慢できず買ったのはごろりとマロングラッセが鎮座するモンブランと紅玉りんごのアップルパイ。
お皿はよくキャスと間違えられるけどアイルランドのAVOCA。(ものの数分で完食)
東京もちらほらと紅葉が目立ってきた。
月に2回は行く楽しい飲み屋。ワインとシャンパン交互に飲む幸せ。
通勤途中に見つけたもふもふの菊。
この時期絶対に持ちたくなるL.L.Beanの定番トートとH&Mで買ってしまったポップなニットたち。


半袖のブラウスを着て「暑い暑い」と言っていたのはついこの前のような気がしていたのに
マンションの外では焼きいも売りのおじさんの声が響いていたり
菊まつりが開催されていたり、夜の空気に冬の匂いがしたりと
いつの間にか確実に、季節は移り変わっていました。

もう少しで今年も終わりです。

Thursday, 1 November 2012

The Light of the Night


10月31日。
間に合わせのハロウィンパーティーグッズとして
当日の夜慌てて購入したアングリーバードのかぶりもの(黄色)を頭にのせ
1人1本のワインと3人で2本のシャンパン、何杯かのビールとモヒート、食後のグラッパを飲んで
わたしの酔っぱらいハロウィンが終わりました。

千鳥足でマンションへ帰り窓の方を見てみたら空には綺麗に真っ赤な月が浮かんでたので
「今日は確か満月じゃないけど、あんなに月がまんまるなんだから
きっと狼少年は間違ってオオカミになっちゃうね!!」
なんて意味不明なことを思ったりして
iphone片手にベランダから月の写真を撮ったのだった。

うぉぉーん。





Sunday, 28 October 2012

La Guerre est Declaree

『わたしたちの宣戦布告』
久々に、とてもよいタイトルだと思いました。


パーティーの開かれている夜のパリで出会い
偶然か必然かすぐさま恋に落ちた男女の名前はロメオとジュリエット。
やがて2人は息子のアダムを授かります。

かわいい我が子と幸せいっぱいの生活が待ち構えているかと思った矢先
シェイクスピアの悲劇の主人公と同じ名前を持つ彼らにこれまた偶然か必然か
考えもしなかった試練が突きつけられたのでした。

「アダムくんはラブドイド腫瘍という病におかされています。
治癒する確立は10パーセントしかありません。」

医師からこの絶望的な宣告を告げられたとき
彼らは決意するのです、息子と共に絶対に病に打ち勝つのだと。

さぁここから家族の戦いがはじまるーーー。


なんとまぁ大きな愛とパワーみなぎる映画だったことか!
わたしの持つ「難病もの映画」の感傷的なイメージ(多くの場合この手の話はとても苦手)を
大きく気持ち良く裏切ってくれる作品でした。
ロメオとジュリエットは、踊り、歌い、愛し合い、お酒を飲み、タバコを吸って、ジョークを言って
泣きながら笑いながらそれぞれの友人・家族を巻き込み戦うのです。最後に勝つために。
その様子は痛快そのもので、一ミリの暗さも感じさせません。

クラシック、ロック、エレクトロ・・・ジャンルを超えてピックアップされたセンス良い音楽の数々と
それにあわせて「走る」シーンの多用がとても印象的でした。

恋に落ちたとき、夜のパリを走る。
アダムを抱え電車に乗るために、走る。
検査結果を待つ間、病院の中をものすごい勢いで走る。
お揃いのウエアを着て、ジョギングをする。

特にジュリエットが不安を払拭しようと病院の廊下をひとり激走する場面が素晴らしくて
カラックス監督の『汚れた血』でドニ・ラヴァンが夜のパリを延々走る名シーンと同じ位
わたしの心にエモーショナルに訴えかけてくるものがありました。
・・・その結果涙腺崩壊。うぅぅ。

走る走る走る。

この映画の特徴は、常に忙しなく動いている感じにある、と言ってもよいかもしれません。

突然歌いだしてミュージカル調かと思えばとたんにサスペンスチックに、
かと思えばコメディタッチだったり、ファンタジー風になったり
ぼけっとしてたら付いて行けなくなっちゃう位くるくる変わる場面のみせ方は非常にポップで、
「断固としてお涙頂戴のしんみり映画にはしない!」という監督とスタッフの気概が伝わってきます。

というのも、この映画は主演のヴァレリー・ドンゼッリとジェレミー・エルカイム(久々にヒットのいけめん)、
元恋人同士である彼らに起こった出来事を基に書かれている作品なのです。
ラブドイド腫瘍を見事に克服した2人の息子、ガブリエル・エルカイムくんは
映画の最後、成長したアダム役として映画にも登場しているのでした。
実際彼らに起こったことだったからこそ、それをアレンジして
既存の概念をぶち壊した、思い切り新しいかたちの映画が作れたのですねぇ。

監督と主演を務めたヴァレリー、共同脚本と主演を務めたジェレミー。
プライベートでの恋人関係はすでに解消しているも、
「映画をつくる」ということにおいてはお互いがお互いを尊敬してやまないようで
次回作でも共演するらしい。
恋人関係を経て現在は同志のような関係の2人からは、この映画のようにでっかい愛を感じましたよ。

現代のロメオとジュリエットは決して悲劇のヒロインたちじゃなかったってこと!

底知れぬ生命力にあふれた映画です。


IZIS- PARIS DES REVES

もう2週間も前のことだけれど、日本橋三越にて開催されていた
『イジス写真展ーパリに見た夢』へと行ってきました。
5日間だけの写真展。
お仕事先で招待券を頂かなかったらきっとイジスという写真家の名前すら知らないままだったかも知れない。

ロベール・ドアノー、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ブラッサイらと同時代を生きた
ヒューマニズムの写真家イジス。
1911年ロシア占領下のリトアニアの貧しい家庭に生まれたイズラエル・ビーデルマン。
ヘブライ語学校で「夢みる人」とあだ名を付けられた彼こそが後のイジスでした。
建具屋にしようとする父の意思に反して写真の修行と絵画に没頭した彼は
19歳の誕生日を迎えるちょうど一週間前、1930年の1月11日に
憧れてやまなかったフランスはパリの北駅へ降り立ち、
貧困に耐え、戦争に翻弄されながら写真家としてのキャリアをスタートさせたのです。


パリの夢・解放の夢・芸術家たちの夢・楽園の夢・ロンドンの夢・約束の土地の夢・サーカスの夢
という7編で構成されていた今回の写真展。

会場に入ると一番始めに目に入ってきたのは
第二次世界大戦下、疎開先のリモージュ解放に伴いフランス解放軍に参加したイジスが撮影した
地下活動を行うレジスタンスの闘士たちの写真でした。
制服に身を包み、無精髭をはやし、銃を抱えタバコをくわえたマキ(抗独レジスタンス活動家)の姿。
イジスはこの撮影にあたってあらゆる芸術性を排除し、
何よりもありのままの写真の真実性を何よりも優先したと言います。
迷いなど一切なく、凛とした男達の眼差しに色々なストーリーを想像して
のっけから目頭が熱くなってしまいましたよ・・・。

さて、イジスが本写真展のタイトルにもなっている「パリ」を本格的に撮影し始めたのは
第二次世界大戦が終わってからのことでした。
イジスの切りとったパリの写真の数々は、先に見たマキの写真と正反対にリアリズムが抑制され
その分夢想的で詩情あふれるものとなっています。
パリの子供、恋人、そして浮浪者も。
ロベール・ドアノーの写真のようには作り込まれていない(感じがする)のに
現実と非現実の狭間を行き交う、夢うつつな雰囲気があふれているイジスの写真。
これはきっと、イジスにとっての「憧れの楽園としてのパリ」そのものだったのだなぁと。

『ファルギエール広場』1949年

『セーヌ川』撮影年不詳

『ロシュシュアール大通り』1959年

『ミヌート・プレヴェール』1951年

『ポール・ド・パッシー』1948年

『ポワソニエール大通り』1949年

『チュイルリー公園』1950年

『ヴィクトール・バッシュ広場』1950年


「何故パリなのか?パリは私の想像力をかき立ててきたからだ。パリは光の都市だった。
私にとって、あらゆることがパリで起こった。
1931年にはロンドンもNYもベルリンも私を惹き付けはしなかった。
人々はフランスの小説を読み熱心にフランス史を学んだ。我々にとって、想像の中のパリは
他の人にとってはアメリカがそうであったように、ヨーロッパの楽園だった。
人間のエスプリ、自由、平等、そして文化の国フランスに魅了されていた。
私たちが夢を見たのはそんな国だった。」

「私はパリ以外のどんな場所でも生きることはできないだろう。
パリを一巡りしたくなるたびに、セーヌ岸から散策をはじめる。
一枚も写真を撮らないこともよくあるが、それでもセーヌから歩き始める。
(大戦が終わり)パリが解放されてこの町へ戻ったとき、セーヌ川へ行って泣いたことを思い出す・・・」

「しばしば、わたしの写真は現実的でないと言われる。
わたしの写真は現実的ではないかもしれないが、それがわたしの現実だ。」


20万人以上が犠牲になったと言われる大戦直後のフランスの現実は、厳しいものだったに違いありません。
それでも、パリに憧れパリを愛し、パリに没した異邦人イジスは
彼が少年時代にリトアニアで夢見ていた楽園のイメージと同一のものーーー
「非歴史的で神話的な理想郷」としてのパリをを撮り続けたのです。

その視点はどこまでも夢見がちで「よその土地からやってきた人」という感がする・・・。

彼は永遠の旅行者だったのかもしれません。


Wednesday, 17 October 2012

Le Voyage dans la Lune

世界で最初の職業映画監督ジョルジュ・メリエス(1861-1938)。
彼の人生とその作品に焦点をあてたドキュメンタリー映画『メリエスの素晴らしき映画魔術』と
奇跡的にバルセロナで発見された彼の代表作『月世界旅行』のカラーフィルム版が
イメージフォーラムで同時上映されたのはこの夏のこと。

彼のアイディアと遊び心に、今観ても全く古さを感じないその技術に、
そして少し悲しい彼の晩年に、
非常に驚かされてただただ夢中になった夜の映画の時間だった。


自らの劇場をもち、大変な成功をおさめていたパリのマジシャン、ジョルジュ・メリエス。
34歳のときに観たリュミエール兄弟による映画の公開に大変な感銘を受け
自らも映画製作の道を歩むこととなります。

できたてほやほやだった当時の映画=シネマトグラフというものは
物ごとを記録するだけで「動く写真」と表現されるに過ぎないものだったのですが
メリエスは撮影中のカメラ故障によって偶然発見された手法を使って世界初のSFX技術を考案、
それに元マジシャンらしい、わたしたちが今観てもわくわくしてしまうような仕掛けと
観客を笑わせてくれる愉快なストーリーを組み合わせて、初めての娯楽映画を作ったのでした。

そんな彼の最も有名な作品が1902年公開のLe Voyage dans la Lune(月世界旅行)。
フランスの小説家ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』と
イギリスの著作家H.G.ウェルズの『月世界最初の人間』の2作品を基に製作された作品です。

世界で初めて月へと旅行することになった6人の天文学者たちが大きな砲弾に乗って月に着陸。
探索の途中奇妙な生物に襲われて生け捕りにされ、月の王に差し出されてしまう・・・。

月の顔にぶすっと刺さる大砲、にょきにょき生える巨大キノコ、パフっと煙になって消える地球外生物。
宇宙旅行だなんて夢のまた夢であった1902年---日本ならば明治35年---に、
これほどキッチュかつ奇想天外な月を舞台にした映画があったなんて!!!
無声映画であるこの作品にフランスのアーティストAIRが音楽を付けていたのもよかったです。

月へ行くことが不可能でなくなった21世紀を生きているわたしでさえ
この世界観にはわくわくさせられっぱなしだったのだから、
当時の人たちがどれだけこの作品に熱狂したのかを想像するのはそんなに難しいことではありません。
上映時間約15分30シーンから構成される、空前絶後の大作であった『月世界旅行』は
もちろん世界中で大ヒットしたのでした。

しかし。
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす」
とはよく言ったもので。(平家物語☆)

脚本から舞台美術まで映画制作のありとあらゆる役割をワンマンでこなしていたメリエスは
その後訪れた新しい時代の波についてゆくことなく、今までと同じ様な作品を作り続けたため
観客からすっかり飽きられてしまい、いつの間にやら多額の負債を抱えて破産。
失意のどん底に落ちた『アーティスト』のジョージ・ヴァレンティンさながらに
過去に製作した映画フィルムの殆どを燃やしてしまうのでした。
それからはパリのモンパルナスにあるおもちゃ屋さんで売り子をしながら生活していたそうな・・・。

こんなに才能に溢れていて楽しいことが大好きだった人。
人々から世間から忘れ去られてしまったジョルジュおじいちゃん。
彼の静かな晩年が、ささやかながら幸せなものであったことを願ってやみません。



Tuesday, 16 October 2012

Miyajima Owl


広島からやってきた宮島張り子のカラフルふくろうさん。

ひとめぼれでした。100歳すぎたおじいちゃんの切り盛りするお店で見つけて。
本当によくしてもらってる大好きなお姉さんもこういうのが好きなんじゃないかなぁと思いつき
1つは彼女に、1つはわたしに、ふたつ買ってきたのです。

先日越して来たばかりの我が家の、あたらしい本棚の上にちょこんとのっているふくろうさんは
すっかり部屋の守り神のような存在に・・・。

伝統の技にちょっぴりの新しさが加わると、こんなにかわいいものが誕生するのですねぇ。