Monday, 1 May 2017

Pretty in Pink



お堀を埋め尽くした花筏。
終わりかけのソメイヨシノと、丁度満開を迎えた枝垂れ桜。

毎年のように訪れているけれど、今年も弘前公園の桜は素晴らしく
それはもう天国のようでした。

なんと今年で100年目を迎えたという弘前さくらまつり。
これもひとえに桜の木の樹木医である「桜守」さんのおかげ。

これから先も、この美しい情景が毎年変わらずそこにありますように!


Friday, 31 March 2017

EQUALS

「未体験ゾーンの映画たち 2017」で3月に1週間だけ上映されたSF映画『ロスト・エモーション』。

今のわたしの気持ちにピタッとはまるとても美しい映画だったから
観賞後、普段はあまり好きでない渋谷の街が少しだけ輝いてみえた気がした。

世界的な大戦争により地球の9割以上の土地が破壊されてしまった近未来。
人間の持つ感情こそが地球を滅亡させる元凶であると考えた政府は
遺伝子操作によって感情を持たなくなった人々の共同体をつくり、
恋愛感情や欲望を持つ人間は異常者として隔離施設に送ったのち安楽死させていました。

統制された共同体のなかで、感情を「発症」してしまったニアとサイラス。
保険局の監視を搔い潜って逢瀬を重ねる二人に待ち受けてけている結末とは。


透きとおるようなサイラスの青い瞳が印象的なオープニング。
そう、この映画は瞳の映画でもあった、と思う。

人間は感情を持たないことが当たり前とさせる世界で、彼らは最低限の言葉しか交わしません。
その分驚きや焦りや不安、愛情の目覚めと喜びといった様々な感情が呼び起こされる様子が
それはもう繊細な瞳の動きによって表現されるのです。
ニコラス・ホルトとクリステン・スチュワート、目を見張るほど美しい主演の二人の
映画前半マネキンのような無表情を装いつつ目でものを言うその演技が素晴らしかったです。

長岡造形大学やMOA美術館、シンガポールボタニックガーデンなど
日本とシンガポールで撮影されたというどこまでも無機質な白と緑でつくられた完璧すぎる近未来の世界観のなか
モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークや
ベートーベンのピアノコンツェルトといったクラシック音楽が流れるのがミスマッチで印象的だったし、
Mogwaiの"I Know You Are, But What Am I?"は映画のラストにぴったりすぎる選曲で、
とにかく映像と音楽で「魅せる」センスのよい映画でした。

世界戦争の後、人々が感情を持つことが禁止されるという設定は『リベリオン』を彷彿とさせるけれど、
この映画では、誰も世界を変えようと戦ったりしません。
ただただ恋に落ちた男女ふたりが、自分たちの幸福のために、とある決断をするのです。

人々が平和で幸福に生きる世界。
それはやっぱり、愛がなければ成り立たない。

これほどにエモーショナルでスリリングで愛に溢れた美しいディストピア映画を
わたしは今までに観たことがあったかな。

Saturday, 31 December 2016

HOI AN

クリスマスホリデイの旅を計画していた秋口。
ホーチミンを訪れた後はハノイへ寄ってみよう、なんて漠然と思っていたのだけれど。

ベトナム渡航歴5回だという同僚のイギリス人が
「ベトナムに行くなら絶対にホイアンにも立ち寄るべき!ホイアンは僕の大好きな街!」
「みみこ、ダナンまでの航空券は手配した?ダナンからホイアンまでは車ですぐだからね。」
とオフィスで顔をあわせる度にホイアンを推してくるので
いよいよわたしもその街が気になり始めて
ホリデイの始まる丁度1ヶ月前、ハノイではなくホイアンへと
日帰りで行ってみることに決めました。

ホーチミンから飛行機でダナンへ行き、
そこから往復のタクシーをチャーターして辿り着いたのは
ランタンゆらめく小くてかわいい港町だった。

心地よい樹木のトンネルが続くグエンティミンカイ通り。
ホーチミンよりも湿度が低くからっとした暑さだったので
いくら街を歩き回っても苦になりませんでした。

こちらはシクロと呼ばれるホイアン名物の人力車。
引き手の姿が見当たらないな・・・と思ったら、
シクロを引っ張るおじちゃん達は営業そっちのけで日陰に集まり、
皆でアイスを食べていた。(イイネ!)

ホイアンの建物は総じてグループフルーツ色。
カラフルなランタンが映えます。
ランタン祭りのシーズンではなかったのだけれど、わたしはすっかりお祭りムード。

長蛇の列が途切れることのない人気店「Banh My Phuong」にて名物のバインミーを注文。
こちらのバインミーはベトナムNo.1との呼び声も高いのだとか。
米粉の入っているフランスパンは外がカリカリ中がふわふわ。
一口食べれば香草の香りが口に広がりまさに絶品でした!
1個と半分食べたのだけど、まだまだ食べれたな...。

淡いグリーンの壁が目をひくベトナムコーヒーのお店。
店内には小さなカフェコーナーがあったので、コーヒわたしも
ベトナムコーヒーにチャレンジしました。
お店のお姉さんに頼んでとびきり甘くしてもらったら、なんとか全部飲むことができたよ。


通りすがりの素敵な窓。
窓はあけるためにある。そして、魅せるためにある。
何でもないものだって、パズルのように組み合わせればこんなに面白い仕上がりになるのだ。

トゥボン川に浮かぶカラフルなボート。
空に雲ひとつなくて、とっても気持ちがよい。
まさにお散歩日和という言葉がぴったりの日。

旧市街地に架かる来遠橋、通称日本橋です。
右上の提灯にカタカナで「ホイアン」と書いてあるではありませんか。
日本とホイアンの交易が栄えていた時代につくられた、
日本とベトナムの有効の印なのですって。

この来遠橋は今から400年以上前、
当時ホイアンに住んでいた日本人が建てたものだと言われているのですが、
その建設者の名前は今も分かっていないんだとか...。
丁度日本では江戸時代。歴史ロマンを感じずにはいられません。

ホイアンのみなさんは商売っ気がないのが非常によかった。
こちらのマダムたちだって、観光客のわたしたちが通り過ぎるのを横目に
道端で堂々とチルアウト中。(イイネ!)

お土産屋さんのランタン。
たくさん並んでいるととても綺麗で見とれてしまったよ。
買って帰りたかったけど、部屋に飾る場所がないよね、と断念・・・。

青い壁と緑のドア、赤いサンダルの位置や売り物のお土産(ドラえもんなの...?)の配置、
全てが写真におさめられるために存在しているかのような場面に出会いました
とても絵になっている・・・!

ホイアンには中国人街があり、
古き良き、そして美しき中国の建築物にお目にかかることができます。
とても細やかで綺麗なドアの装飾!

わたしたちもボートに乗って、夕暮れ時のトゥボン川をクルージングしました。
近くを走っていたボートの船頭に立つお兄さんが海の大将みたいでかっこよかった。
(川だけど)

ファニーフェイスが愛らしい狛犬さん。
お首のリボンもよく似合ってる。

ピンク色がユニークな福建會館。
中国は福建省からホイアンへ移住してきた華僑の皆さんの集い場として
約250年程前に建てられたそうです。
奥には天后聖母がまつられています。

「寿」の文字がお花で作られているよ...!
なんて縁起の良いデコレーション!
ゆっくり街歩きをしていると、素敵なものにたくさん気付けて嬉しい。

日が落ちてきたころ。
街中のランタンの明かりがつきはじめ、
トゥボン川には火のついたろうそくが浮かびはじめる。
とっても幻想的な夜のはじまり!

レストランや道端、あらゆるランタンに灯が点された夜の街。
中でもランタン屋さんが並ぶ夜店の美しさは格別です。
ランタン祭りの季節でなくても、十分にホイアンらしさを楽しめました。


1999年には世界文化遺産に登録されたというホイアン。
人通りも多くなく、リラックスしながらゆっくりとお散歩できる最高の場所だった。
日帰りでも十分楽しめるけれど、
トゥボン川沿いのホテルに1泊して
お酒片手にランタンの街を窓から眺めるのもロマンチックでよいな!


Friday, 30 December 2016

HO CHI MINH

2016年のクリスマスホリデイ。

1年を締めくくる今回の旅行は、
半年以上前からベトナムはホーチミンへ行くことに決めていました。
「東洋のパリ」と呼ばれ、フランス統治時代の影響が残るその街並みに惹かれて。

いやはや6月のシンガポールほどではなかったけれど
12月のホーチミンも想像以上に蒸し暑く、
歩いて10分ごとにスイカジュースで水分補給をしながら街歩きをしたよ。

ホーチミンのメインストリート、ドンコイ通り。
淡いイエローが素敵なコロニアル建築ホーチミン市人民委員会庁舎を背景に
ベトナム民主共和国初代主席ホー・チ・ミン氏の銅像を望む。

統一教会を目指していたところ迷い込んだ公園にて、鬱蒼と茂る植物たちを発見。
各々が自分の役目をよくわかっているような
植物たちのその佇まいがとてもよい・・・。

かの有名なサイゴン大教会と聖母マリア像。
サイゴン大教会はローマ教皇からバシリカとして認められた由緒正しき教会なんだとか。
ベストショットを求めるたくさんの人々がカメラ片手に写真撮影をしていました。

ポップな黄色が眩しいこちらはサイゴン中央郵便局。
なんとこちらの住所は2 Công xã Parisというのです。
東洋のパリ、ここにありといったところ!

中央郵便局に一歩足を踏み入れれば美しい天井のアーチがわたしたちを迎えてくれます。
こんな素敵な郵便局を日々当たり前に利用できるなんて、羨ましいな。
ついついたくさんのポストカードを送りたくなってしまう。
(正面にはしっかりホー・チ・ミン氏の肖像画が掲げられているね!)

凄まじい熱気と蒸し暑さで目眩すら起こしそうになった迷路のようなベンタイン市場で
一番に輝いていたのはこの造花のお店だった。
眩しいくらいの色、イロ、いろ!

アメリカのスムージー屋さんSmoothie Factoryにホーチミンでお目にかかる。
ここでもわたしは安定のウォーターメロンジュースを注文。
渇いた喉に染みわたるスイカの水分よ。
ファングーラオと呼ばれるバックパッカー街にほど近いことも手伝ってか、
欧米のお兄さんお姉さんが大勢出入りして大繁盛の様子だった。

みんな大好きフランスの名女優カトリーヌ・ドヌーヴ様が愛したホテル、
れはホテルマジェスティック。
いつかはぜったい泊まりたいぞ!
(もう何年も高級ホテルを通り過ぎるたびに必ずそう自分に誓っている・・・)

マジェスティックホテル内にあるシャンデリアと装飾ステンドグラスも
息を飲むほどに美しかったです。
これはもう美術品。

ベトナムの国民色、それはおなじみのフォー。
屋台で、空港で、レストランで、どこでもフォーが食べられるのだけど
このPHO24というお店はいわばフォーのファストフード店。
店内の綺麗さとその手軽さで、滞在中何度かお世話になりました。

ヨーロッパの香りただよう市民劇場、通称オペラハウス。
フレンチコロニアル様式。
半円のアーチ装飾が細やかでうっとりしてしまいました。

蒸し暑いドンコイ通りから冷房でキンキンに冷えたタクシーに揺られて数十分。
チョロンと呼ばれる街へやってきました。
よりディーブな、ホーチミンの日常の姿を見ることができます。

チョロンはベトナム最大の中華街。
教会だって、こんなにオリエンタルな仕様になるのです。
瓦屋根に守られているマリア様だなんて、なんだかとっても素敵。

神聖な教会の中はクリスマスの準備に大忙しの様子でした。
真っ白な教会が赤と緑のアクセントで一気にクリスマス仕様に!
イエス様と漢字の組み合わせに長崎を思い出したりした。


今回の旅で3回訪れたレストラン、シークレットガーデン。
古びたビルの5階にあって、そのロケーションはまさしくシークレット。
ボロボロの薄暗い階段を登っているときは「本当にここにカフェなんてあるのだろうか」と不安でいっぱいだったけど
到着すればそこは緑豊かで気持ちのよい風が吹く、ルーフトップの不思議空間でした。

シークレットガーデンのお料理は、どれもこれも美味しくって
「ボロボロの薄暗い階段だったけど5階まで登ってきて良かった!」と心から思ったよ。
ベトナム南部の家庭料理。
どれを食べても日本人の口によく合います。

こちらはデザートにいただいたチェー。
チェーはものすごく甘いのだと聞いていたけれど、
こちらのものは日本のぜんざいを水で薄めたようなお味。
うーん・・・わたしは一度食べたらそれでもう満足かな。

こちらはヒンドゥー教スリタンディユッタパニ寺院内のタイル。
壁一面、カラフルかつ細やかなデザインのタイルがびっしりと敷き詰められていたので
生粋のタイル好きであるわたしは、何時間でもここにいてタイルを眺めていたい!
と思いました。

パステルグリーンがとびきりキュートなこの建物はサイゴンセントラルモスク!
今までシンガポールやマレーシアでもいくつかモスクを見てきましたが
デザインも色もそれぞれ独特でとっても素敵なのだよね。
モスクのデザインの歴史や分類を調べるのも面白そう。

かつてブラピとアンジーがお忍びで訪れたという名店クック・ガック・クアンへ。
挙げ春巻き、ソフトシェルクラブ、空芯菜の炒め物、パパイヤサラダを平らげて
店員さんにおすすめされるがまま注文した紫芋のスープ。
これがもう、奇跡かと思うくらいに美味しかったから震えました。
さすがブラピとアンジーが来ただけあるっ。

こちらは今回のホーチミン旅でわたしがいちばん心を奪われたタンディン教会。
ホーチミンの街並のなかに突如として現れるピンクな教会のインパクトといったら。
クリスマスが間近に迫っていたこともあって、
テーマパークばりに装飾が施されているところもウルトラハッピーな雰囲気でニジュウマル。

仏領インドシナ時代から、ベトナム社会主義共和国へ。
長い期間をかけて独立を勝ち取ったこの国の歴史を振り返れば
「東洋のパリ」と呼ばれる由縁である仏政府統治時代の建築物も
ただただ「かわいい!素敵!」だけで済まされるものではないのだけれど。

いつだって、哀しい過去は美しい未来をつくるのだよね。

そんなことを思いながら
スイカジュース片手に街歩きをしたホーチミンの旅でした。

Monday, 19 December 2016

Ashes and Diamonds

今年のポーランド映画祭で鑑賞したアンジェイ・ワイダの『灰とダイヤモンド』(1958)。

永遠の勝利の暁に、灰の底深く
燦然たるダイヤモンドの残らんことを

劇中で主人公たちが訪れた墓碑に刻まれた詩の一節。
闘争と、血の色と、ロマンティシズムにもう胸がいっぱい。

何故こんな名作を今まで観ないで生きていたのだろうか!


時は1945年、ナチスドイツが降伏し、第二次世界大戦も終わりに近づいたころ。
ワルシャワ蜂起のレジスタンスとして戦ったゲリラ兵の若者マチェクは、
新政権の指導者でソ連と密な関係にある共産党幹部のシュチューカを暗殺するよう命じられていました。

任務を遂行することに何の迷いも無かったマチェクでしたが、
暗殺計画実行前夜、バーで働くクリスティーヌと恋に落ち、彼の心は大きく揺れ動きます。

祖国の大義か、愛する人との未来か。

「恋とはどんなものなのか、今まで知らないでいた。」

悩みに悩んだ挙げ句、彼はひとつの決断をするのでしたーーー。


それはきっと昼下がり。教会近くの高台で、何とも牧歌的に物語がスタートしたかと思うと、
とたんに場面は銃撃戦へ。
モノクロームの美しい映像は、今観ても新鮮だと感じるカットの連続で、
瞬く間に物語の中へと引き込まれてしまいました。

特に映画のクライマックス、戦勝を祝う人々のリクエストを受け
飲み屋の楽団が、ポーランドの生んだ大作曲家ショパンの軍隊ポロネーズを奏でるシーンは素晴らしかったです。
なんとか主旋律をたどっていたポロネーズのしらべは、やがて不協和音へとなってゆく。
しかし十分すぎる祝い酒を体に流しこんで喜び踊る人々の耳に、その音の不快さは届かない...。
ナチスドイツの支配が終わり、ソ連の衛星国となった新生ポーランドの未来が、
必ずしも輝かしいものではなかった、ということの象徴のように感じました。


「普通の人間として生きたい」という願いすら叶えられずあまりにも儚く散っていった青年の物語。
反政府分子が主人公であるにも関わらず共産党政権の検閲をくぐり抜けて発表されたこの作品には
歴史に翻弄され続けたポーランドという国の悲哀、美しさ、そして強さが詰まっていた。

いい映画は時代を越えて愛されるのだと、改めて思った夜でした。